手を握って…。 vol.211 由香里、「重大ニュース。」
電話の向こうで夕美子、
「うん。…で…???…何だか、賑やか。」
「うん。何でか知らないけど、お店…凄いお客さん。ゆっくり話出来る状態じゃない。ワコウちゃんも洋造さんも忙しくって…。」
そこに悠宇が由香里の左腕をトントン。
由香里、
「…ん…???」
悠宇が自分のスマホで、何やらSNSのページ、
「わっ!!!…あっちゃ~~。これが原因かぃ。だめだこりゃ。」
夕美子、スマホを耳に、
「何々…どしたの…???」
健之、夕美子を見て、小声で、
「お忙しいようで…。では…。お先…。」
夕美子、そんな健之に、
「うん。お疲れ様~~。」
スマホの向こう由香里、
「藤見朋花がベルモンド来てたの、ネットの書き込みで話題になってるみたい。多分、このお客…。彼女も今や、有名人らしい…。…心ちゃんも若ちゃんもいたんだけど…。ゆっくりと話、できそうもないからって…、さっき帰っちゃったのよ~。」
夕美子、
「そっか~~。」
「まっ、私と悠宇は…まだ、いるんだけど…。ちょっとでも、常連がいないと、ふたりとも…ホッとしないかも…って…。だって、私たち以外、私も見た事ない客ばかりだもん。」
夕美子、
「ふ~~ん。…で…???」
「夕美子~~。行くよ~~。」
與門。
そんな與門に、
「あっ、與門、今、ベルモンド…お客さんでいっぱい。」
與門、
「おっと…。んじゃ…今日はパス…か…。…何…、電話…、由香里さん…???」
夕美子、
「うん。」
電話の向こう、由香里、
「重大ニュース。」
その声に夕美子、
「へっ…???…重大…ニュース…???」
「うん。…でも…これは…本人から直に聞いた方が良いよ。」
「何…、由香里がそんな事を言う…重大ニュースって…???」
バッグを持ちながら、與門と一緒に歩き出す夕美子。
スマホの向こう、
「とにかく、藤見朋花、ワコウちゃんに、とんでもない話を持ってきたから…。」
「とんでもない話…???」
與門、その夕美子の声を聞いて、
「…ん…???」
「当然なんだけど…、今のワコウちゃんに、ひとりでは抱えきれないかも…知れないから…。」
夕美子、
「はぁ~~あ…???」
「あんたが、しっかりと…支えてあげなさい。」
「いやいやいやいや。しっかりと…支えてあげなさいって…???」
「どっちにしろ、その内、ここに来るか、朝…ジョギングでワコウちゃんと会うでしょ。本人から聞いてみな。」
「う…、うん。」
「ただ、これだけは言っとく。ワコウちゃんにとって、決して悪い話じゃない。出来れば、叶えてあげたいくらいのは・な・し。」
夕美子、
「叶えてあげたいくらいの…話…???」
首を傾げながら夕美子。
隣で與門、
「何…どうしたっての…???」
スマホの向こう、
「じゃ、切るよ。お客さんの手前、これ以上の電話は…迷惑…。」
その声を聞いて夕美子、
「う…、うん。分かった。じゃ…、おやすみ…。」




