手を握って…。 vol.208 「顔、覚えていてくれていて、嬉しい。」
その声を聞いて由香里、
にっこりと笑顔で。そして藤見の方に向き直り、
「お久し振りです。トモカ、フジミさん。」
その声に朋花も、
「わぁ~~。本当に、茂木さんだ~~。わわ。びっくり~~。まさか、ここでお会いできるなんて、もの凄いラッキー。」
そして由香里に右手を差し出して、
「すみません、握手して…戴けますか。凄い、感激~~。」
ボックス席からカウンターに戻ってきた和弘、
「…???」
洋造にしても、若、心にしても、少し戸惑い気味に…。
「顔、覚えていてくれていて、嬉しい。」
由香里。
「とんでもない、忘れられるはずもないですよ。あれだけニューヨーク沸かせたブランドのメンバーだもん。セントラル・ムード。ヒサコ・マーラ。またお会いしたいですね~~。」
「ふふ、ありがと。ここは、私と悠宇のご贔屓のお店なの。」
朋花、
「あ~~。な~るほどね~。それで…。…うん。納得できる。」
「藤見さん、何やら…、んん、高梨君に、用事があるとか。」
その一瞬の詰まりにクスリと笑う、悠宇、そして若と心。
朋花、
「…ん…???あっ、あ~~。うん。大事な話があって、お邪魔しました。」
由香里、
「ふ~~ん。」
そして笑顔のままの朋花を見て、
「ふん。企業秘密って訳ね~~。」
「申し訳ございません。まだ…決定事項でもないので…。ましてや、プライベートにも関わりますので、私からは…。」
由香里、そんな朋花の話しを聞いて、
「うん。分かってる。その様子だと、悪い事ではないらしいから…。あなたの事だからね~。」
「ありがとうございます。お察し戴いて。」
「なにやら…凄い人気みたいよね~~。ジュン・ジョルジュ。」
「ありがとうございます。お蔭様を持ちまして…。」
「私たちも以前に、東京で立ち上げまして。麻布セントラル・ムード。ミス・フローラル。よろしくお願いします。」
そう言いながら朋花に右手を差し出す悠宇。
「ありがとうございます。旦那様もお元気で、いつも若々しくって…。」
悠宇と握手をして、
「それでは私は、この辺で…。…そうだ、いつか、遊びに来てください、六本木に。いつでも歓迎します。」
「えぇ。その節は…ご馳走になりますよ~~。」
由香里。
「お待ちしております。…では…。」
朋花、ニコリと微笑み、お辞儀をして、
「マスター、高梨さん。お邪魔しました。ありがとうございます。」
洋造、和弘、丁寧にお辞儀で返して、ドアが閉まる。
心、
「お~~~。心臓バックン、バックン。」
若、
「私も…。」
「それにしても、知っているんですね~由香里さんの事~~。凄~~い。」
心。
若も、
「ねぇ~~。」




