手を握って…。 vol.204 「矢萩…副編集長…好きなんでしょ。」
「確かに、仕事上での、相手との遣り甲斐も、あるかも知れないけど…。それとは…また、別だから…。」
洋造、由香里の顔を見て、
「まぁ~。そう言うこった。」
「仕事以外でも、そういう人に出会えたと言う現実。夕美子にとっては、この機会は…大きいと思う。」
そう言いながら由香里、
「若も…頑張れ、頑張れ。」
若、突然、
「へっ…???」
若、目をパチクリさせて…、
「私…???」
由香里、
「ふん。顔に書いてある。矢萩…副編集長…好きなんでしょ。」
その突然の由香里の声に、
「えっ???」
すぐに顔を真っ赤にさせる若。
と、同時に、和弘も悠宇も、
「うそ。」
若、顔に両手を当てて、
「えっ、なんで、なんで…???」
「ふふ~ん。しっかりと…、お見通し~~。へっへっへ~~。」
若、
「えっ???えっ???…どうして…???」
「因みに、この事…與門編集長も…知ってる~~。」
「うそ―――――――っ!!!!」
「かかか。心配ない。今のところは、ここにいるメンバーだけだから…。」
洋造、
「若ちゃん。いいじゃないのぉ~~。うん。」
「ただ…。」
由香里、少し苦笑いをしながら、
「困った事に、矢萩さん…、好きな女性が…。」
目をぐるりと…見回して由香里。
「教えたげな~~い。」
洋造、
「おおおおお~~い。」
その時、外のベルモンドのドアで、右から心、そして左からひとりの女性。
心、
「あっ、お先に…どうぞ。」
「あっ、すみません。ありがとうございます。」
ドアを開けて。
洋造、
「いらっ…。あっ。」
女性にお辞儀をして、
「この度は…、どうも…。」
女性の後ろから入ってきた心、
「……???」
首を傾げて、そしてカウンターの若を見て手を振る。
女性の後ろ姿を見て、洋造を見て。
そして女性にお辞儀をして、「いらっしゃいませ」と言う和弘を見て、
和弘に指差して、女性の後ろ姿に指差して、
「……???」
また首を傾げて…。
女性、カウンターの中央まで歩いて、
「いつも美味しい料理、ありがとうございます。先日、お電話させて戴いた、レストラン、ジュンジョルジュの藤見と申します。」
由香里と悠宇、黙ってワインとビールを飲みながら、目をキョロキョロと…。
心、若の隣に静かに座って、小さな声で、
「若…、何…???どうなってる…???おじちゃん、ワコウちゃん…???」
和弘、
「お待ちしておりました。わざわざご面倒掛けて申し訳ございません。」
そして、
「洋造さん…。」
洋造、
「おぅ。」
和弘、カウンターからホールに出て、
「こちらにどうぞ。」
「ありがとうございます。」
女性が座ったのを見届けて、自分も座り、何か緊張しながらも、両手をあちらこちらに。
テーブルに一枚の名刺とパンフレット。
「改めて、レストラン、ジュンジョルジュの藤見朋花と申します。初めまして…、ですよね。」




