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手を握って…。 vol.202 「いいんじゃないか。おまえの好きな時に…。」

和弘、準備をしながら、

「洋造さん…。」


洋造、

「ん~~???あ~~。例のジュン、何とか…。いいんじゃないか。おまえの好きな時に…。」


「はい。分かりました。ありがとうございます。」






病院の廊下を歩きながら、そして左手には大きな花束を持って。


病室から出てきた看護師の小柳、その姿を見て、

「わぁ~~~。綺麗~~。」

そして、

「いらっしゃいませ。」

にっこりと。

「どうぞ、中へ。ごゆっくりと…どうぞ。」


「ありがとう。いつも…ありがとうございます。お世話になってます。」

武実、花束を小柳の顔に。


小柳、

「う~~ん、いい匂~~い。」


「でしょう~~。」

満面の笑顔で。


「矢萩さん。喜ばれます~~。」

「うん。…では、お邪魔します。」


病室のドアを開けて、首だけ中に、

「チャオ。」


小柳、武実の後姿を見て、

「ぷっ。」

そしてそんな後ろ姿にお辞儀をして、振り向いて歩く。

「すっごい、カッコいい~~。はぁ~~、うらやまし。」



ベッドの上で、

「あ~ら、いらっしゃい。…凄~~い、お花~~。」

笙子。


武実、

「ふん。まっ、2ヶ月も会えなかったんだ。これくらいはね。」

ベッドに近づいて、ベッドの上に花束を。

そして笙子の顔に近づいて、笙子の唇に唇を重ねる。


笙子、

「ばか。病気、移っちゃうぞ。」


「ふん。移って本望。毎日、母さんと一緒にいられる。ふふん。」

「ばかね~~。もう~。」


椅子をベッドの傍に、そして座って笙子の体を起こして抱き寄せる。

「動けるか…???」


「うん。」

「じゃ、車椅子に。」


「うん。お願い。」


車椅子を押して病室の窓へ。


笙子、

「もう…秋ねぇ~~。」


武実、

「あぁ。」


車椅子の後ろからゆっくりと降りて笙子の髪の匂いを…。

「かあさん。」


そんな自分の夫の声に、

「ん~~。ふふ…、子供みたいよ、父さん。」


笙子の右頬に自分の左頬を…。背中を抱く様に。

左手は笙子の左手を握る。


目を閉じたままの笙子、武実の左頬に顔を寄せて唇を。

そのまま武実は顔を滑らせて再び笙子の唇に唇を。

ゆっくりと病衣の中の肌着から差込まれた右手が温かい膨らみを優しく撫でてくれる。


目を閉じたまま、掠れた声で笙子、

「お・か・えり。」



ベッドに戻って夫婦の会話が弾む。

「…ん…???…じゃ…、健之にも…なにかしら…???」

武実。


笙子、

「うん。瑠唯子の話しだと…。今まで女っ気のない職場だったけど、何だか感じが違うって…。」


「へぇ~~。へへへへ。あいつにね~~。」

「な~に言ってんのよ。もうそろそろ健之にだって…。いい人が…いても…。」


「まっ、そりゃ、そうだけど…。モテんのか、あいつ~~。」


そんな武実の声に笙子、

「ぷっ。な~に言ってんだか~。」





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