手を握って…。 vol.201 「…好きに…なろう…かな~~って…。」
夕美子、今耳に届いた声に、
「……。」
チラリと隣を見る健之。
鼓動が高鳴る夕美子。
「矢…萩…さん…???」
健之、
「うん…???」
夕美子、少し潤んだ目をして、
「…好きに…なろう…かな~~って、思っている…、人…。…今…、います。」
その声を聞いて健之、
「そ…う…ですかぁ…。」
夕美子、
「う…ん。」
健之、
「…もし…か…して…。」
左にハンドルを切って、
「さてと…。着きました~~。」
「うん。ありがと。編集会議、15時から…だったよね。」
地下に降りて行く車の中で夕美子。
「はい。ちょいと…、長引きますか…今度の会議は…???」
健之。
「う~ん…。…もしかすると…。」
一瞬、頭の中に甦る由香里の言葉、
「夕美子も…、うかうかしてたら…取られちゃうぞ…。」
夕美子、頭の中で…、
「…どういう意味…???由香里…の、あの…???」
車を降りてすぐに夕美子のスマホに着信。
「あぁ、由香里~。さっきはありがと。…うん。うん。うんうん。あはっ。そっか~~。うん。良かった~~。絶対その方がいいもん。私からも応援するから頑張れって、言っておいたのよ。」
スマホで電話の相手と話している夕美子を見ながら健之、
「……。」
夕美子、
「うん。わざわざありがと。うん。今着いた。社の駐車場。うん。じゃね~~。」
エレベーターのボタンを健之が…。
エレベーターに乗り込みながら、
「由香里さん…???」
その健之の声に夕美子、3のボタンを押して、
「うん。ファッションショーとディナーショーのコラボ。由香里がワコウちゃんに、ディナーショーの料理、お願いしたらしいの。でもワコウちゃん、そんな大掛かりな事、初めてだから悩んじゃってて…。」
エレベーターのドアが開き、健之、
「へぇ~~。高梨君にディナーショーの料理…???」
廊下を歩きながら健之。
「でも、それって、凄い事じゃん。高梨君。僕だったら大賛成ですよ。」
そんな健之に夕美子、
「でしょう~。だから、昨日、ワコウちゃんに、絶対にやんなきゃ駄目。私、応援するから。って…言っておいたのよ。」
その夕美子の、「私、応援する。」の部分に少し拘って健之。
「…で…、結局、高梨君…???」
「今、由香里からの電話で、ワコウちゃん、引き受けるって…。ふふん。」
その時健之、夕美子の顔を見て、夕美子のその喜んで嬉しそうな顔が…。
「…新條さん…。本当に…綺麗…。」
夕美子、ドアを開けて、
「ただいま~~。」
健之、頭の中で、
「…好きに…なろう…かな~~って、思っている…、人…。…今…いる…かぁ……。」
ブリリアントの会議室。
與門、
「…と言う事で亜季、引き続き楽夢喜夢さんよろしく。それから、新規の…、あれ…、面白いね。検討してみる。」
亜季、
「サンキュウです。お願いします。」
「さてと。心、ご要望通り、若の事、お願いね。」
心、
「あい。」
若、
「ありがとうございます。」




