手を握って…。 vol.200 「ねっ。矢萩さん。夕美子の事、頼むよ~~。」
「…って、言うか…、あの頃は…、まだまだ私、ヒサコにしごかれてたから…。毎日ファッション漬けだったもんね~~。覚えられたもんじゃない。かかか。…でも、ヒサコはもう~一目惚れしてたね~。」
由香里、当時を思い出しながら…。
夕美子、
「ふ~~ん。」
「由香里、あれであんたより3つ下だよって。…でも、私はあんたを徹底的に私の片腕にするから、そのつもりで…。…ってね~~。かかか。何回聞かされたか…、その言葉。」
夕美子、健之、
「……。」
「まっ、でも…そのお蔭で、私は、ここまで来れたから。恩人だよ、ヒサコは…。」
夕美子、
「マーラさんね~~。凄い人だよね~~。」
「しかも…、そんな繋がりで、夕美子と再会出来たんだから、もう~縁って…凄いよね~。ねっ。矢萩さん。夕美子の事、頼むよ~~。ただいま、彼氏いない歴、更新中なんだから…。」
その由香里の声を聞いて夕美子、ドキン。
健之、
「あっ、いや…。由香里さん…、勘弁して下さいよ~~。」
「うかうかしてたら、取られちゃうぞ~~。」
健之、
「えっ!!!」
「でも…矢萩さんも…結構…モテたりも…するんだよな~~。まっ、当然と言えば、当然か…。かかか。」
夕美子、健之、
「は…あ…???」
「夕美子も…、うかうかしてたら…取られちゃうぞ…。」
夕美子、
「は…あ…???…いや…。なんで、由香里…、どういう意味…???」
そう言いながら夕美子の頭の中に甦る、あの道路上での出来事がまた…。
少し顔を赤くして…。
健之、顎を指先で掻きながら、
「ん…、んんん。」
帰りの車の中、殆ど会話がないままで…。
運転しながら、いきなり健之、
「新條…さん…。」
夕美子、突然名前を言われて、
「あっ、はい…。」
少し高鳴る鼓動。
健之も同じように、少し高鳴る鼓動、
「新…條さん…???」
「は…、はい。」
それから言葉が続かない健之。
「あ…、いや…。」
「はい…???」
「あっ、いや…、なんでも…。…うん。」
夕美子、
「は…い…???」
「…いや…。なんでも…。」
そして、
「…って、言うか、いきなり、由香里さん、あんな事…言い出すから…。…もぅ~~。」
そんな健之に夕美子、
「ぶっ。」
健之、
「は…あ…???」
「くくくくく。」
「何が…くくくく…???」
夕美子、
「いや…、だって、思い出したら、可笑しくなっちゃって…。」
健之、
「はい…???」
「だって、矢萩さん、あんなに強いのに…。なんだか…、見てると…凄い…子供っぽいし…。」
「はぁ~~???」
「かかかか。うん。矢萩さん…、いい人だ。うん。」
「えっ…???何…それ…。それ…。どういう…???」
「うん。そのまんま。ずばり、いい人。そして、素敵な人。カッコいい人。」
健之、
「……。」
途切れる会話。
鼓動が高鳴る健之、
「新條さん。夕美子さん。」
いきなり健之。
夕美子、
「わっ。びっくりした~~。」
「新條さん…、好きな人…いますか???」
ス~~ッと、引いて行く鼓動。




