手を握って…。 vol.190 「あんた、夕美子と結婚しなさい。」
「で…。これが…僕と…何の…???」
和弘。
ルイ、また、
「くくくく。」
由香里、思わず頭をガックリと。
「夕美子も言ってたけど、本当にワコウちゃん、あんた…鈍。」
和弘、困ったような顔で、
「い…、いや…。ドン…って…???」
「もぅ~~。」
変顔のルイの傍を通って前の自分のスツールに落ち着く由香里。
「まさか…、ワコウちゃん。あんた、私があんたにモデルやってくれって…、思ったんじゃ…ないでしょうね~~。」
和弘、洋造とルイの顔を見ながら、
「い…、いや…。そう…なんじゃ…。だって…、ファッションショーって…???…えっ…???」
「…んな訳ないじゃん。料理の方!!!料理!!!」
和弘の持っている資料を取り上げてその資料に指をポンポン。
和弘、
「料……理。」
「うん。私たちの初めてのファッションショーになるの。…で、その最初のショーに、どうせならディナーも一緒に企画しようって…。」
ルイ。
「そして、もし、それが嫌なら、ワコウちゃん、あんた、夕美子と結婚しなさい。」
その由香里の一言に和弘、「ドキン。」
洋造も同じく、「ドキン。」
そして声にして、
「来た~~~。」
和弘、
「あっ、あ~~。いやいやいや…。いや~~。」
由香里、
「こらっ、ワコウ~~。ハッキリしろ。どっち!!!」
またまた和弘、両手を前にひらひらさせながら、
「いやいやいやいや…、なんか…、どっちも…無理…。」
また睨みつける由香里。
和弘、
「いや…。そんなおっきなイベントに…僕の…。それに新條さん…。無理でしょ。僕なんて…。ほら…矢萩さんとか…。」
その一言に、洋造、
「ん~~。な~るほど~。そっちか~~。」
ルイ、
「ふんふんふんふん。な~る。」
由香里、
「ほぅ、ほぅ。そう来たか。」
和弘、
「へっ…???何…???…そう来たか…って…???えっ…???えぇ…???」
「もしかして…。そんな事考えてたら、矢萩さんに…、負~っけちゃうぞ~。」
洋造、
「…???」
和弘、
「はぃ…???…どういう…???」
「確かに。矢萩さんも夕美子…意識してるよ。そして、夕美子も自分では気づいてないようだけど…、矢萩さん…意識してる。そして、それと同様に、ワコウちゃん。夕美子、あんたの事も、矢萩さん以上に意識してんの!!!」
その由香里の話にルイ、にっこりと頷き、
「…と、いう事~~。」
和弘、洋造共に、
「え―――――――っ!!!」
その瞬間、ルイ、由香里、肩をガクッと。
「…って…、あなたたち、いっつも夕美子見ていて、気付かなかったの―――――――っ!!!」
和弘、洋造、
「あ…、いや…。あの…、その…。えっと~~。なぁ…。」
お互いに顔を見ながら…。
由香里、
「洋造さん…。見越していたと…。私…、思ってた。」
その由香里に洋造、頭を掻きながら…、
「…めんぼく…ねぇ…。」




