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手を握って…。 vol.189 「そのファッションショーに、あんたも出るの!!!」

まだ早い時間帯に、

「あいや、ファションショーってか。」

目の前の由香里とルイに洋造。


その傍で和弘、

「すげぇ~や。」


「な~~んて、言ってらんないんだからね~ワコウちゃん。」

いきなり由香里。


その声にびっくりの和弘、

「えっ!!!なんで…???」


「そのファッションショーに、あんたも出るの!!!」


その声にルイが、両手を叩いて、

「キャッハハハハハハ。」


洋造、目を真ん丸く、

「えっ!!!おぃ。えっ!!!!うそっ。はっ!!!はぁ~~あ!!!」


和弘、途端に、

「いやいやいやいやいやいやいや、由香里さん…。そりゃ、幾らなんでも…。うそ―――――――――っ!!!!」


そんな和弘を睨んで由香里。


「いやいや…。そんな…、睨まれても…。あの…、おれ…。」


笑いが止まらないルイ。


「ちょっ、ちょっと…ルイさん…。ねぇ~~。助けて下さいよ~~。幾らなんでも…。ねね。」


今度は睨んだ上に、腕組みをする由香里。


「かかかかか。」

ルイ。


「おぃ、ワコウ。」

いきなり由香里。


その声にビクンとする和弘、

「は…、はい。」


「もう~決まってるんだからね。リストも。ほら。」

バッグから一枚の資料を取り出して和弘の目の前に。


和弘、

「いやいやいや。見たくない。見たくない。無理に決まってるじゃないですか~。」

懸命に由香里の前に両手を振りながら資料を見ようともしない和弘。


由香里、

「そっ。…んじゃ帰ろう~っと。」

そしてルイに合図をして、

「ルイ、帰るよ。こ~んな分からず屋の店。もう~来ないからね~~。」

そう言ってバッグを持ってスツールから立ち上がってドアに向かう由香里。


ルイ、

「あ~~あ。お得意様…怒らせちゃった~~。ワコウちゃん。高くつくよ~~。」


洋造、口を一文字にして目をパチクリ。


ルイ、スツールから降りて、

「じゃね~~。」


洋造、チラリと和弘に流し目をして…。

和弘、口を尖らせながら…。そして洋造を見て…。由香里がドアのノブを…。


和弘、

「あ~~ん、もう。待って下さいよ~~。由香里さ~ん。」

何かしら額に汗を掻きながら。

「勘弁してくださいよ~~。もぅ~~。僕にどうしろって言うんですか~~。」


そう言いながら、カウンターの由香里のグラスの傍に置いてある資料を、

「よっと。」

手を伸ばして…。その資料を…。


和弘、

「えっ…???」


洋造、

「なんでぃ…???」


和弘の隣に寄り、その資料を…。


和弘、

「ディナーファッションショー・ミズ・フローラル・麻布セントラル・ムード…。」

目をパチクリと和弘、

「ゆ・か・り…さん…???…これって…???」


「この前、ウチの社長からの仰せ付け。ファッションショー、やるって…。そして、それと同様に、ディナーショーもやるって企画。」

ボソッと、ドアに背を付けながら由香里。





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