手を握って…。 vol.185 「両手に花とは、この事かしら~~。」
ホテルの一室でパソコンを使いながら資料を整理している女性に、
「トモカ~。そろそろ時間だよ~。」
片言の日本語の男性の声に、
「うん。分かってる。オッ、さすがに準備早いね~ブリス。」
そして、
「さてと。…では、参りますか。」
そしてホテルのエントランスの外に待機している車に乗り込み、
「トモカ~。大丈夫ですか~彼~???」
男性。
「ふ~ん、今のところ、フィフティ・フィフティ。こればかりは…やってみないとね~~。」
「でも…ボスは、欲しいんでしょ。彼…???」
「ふん。そんじょそこいらでは…味わえないからね~あの味は…???」
「何…???そん…じょ…、そこいら…。何…???どういう意味…???」
「ははは。あんたには…ちょっと分からないか…。ブリス…。」
そして、
「フランス語で…、どういう…???」
「英語で良いよ。」
「ははは。え~~っとね~~。」
車はホテルを出て表通りを…。
そして、前方に見えてきた、第1国際ターミナルの道路標識の下を…、過ぎて行く。
「ついこの間は、私が紹介される側でしたが…。」
健之。
「両手に花とは、この事かしら~~。」
腕組しながら右隣の健之の顔を見て、
「ふふ…。」
そのまま健之の右隣の夕美子にウィンクをする與門。
「まっ、女性二人の端に男性がポツンと…、な~~んてとこ見られたら…。さっすがに…、後が恐いもんね~~。」
左隣を、目をパチクリとさせながら、にっこりと夕美子。
クスリと笑う與門。
「ねぇ~~。」
健之、
「な…んか…。凄い…、緊張…してるんですけど…。」
そんな健之に、腰を低くして囁き掛けるように、
「大丈夫ですよ~~、矢萩副編集長~~。私も傍にいますから~~。」
與門の体の前で…、春樹。
與門、
「おやおや、いつの間に…。くっ。」
「昨夜はどうも~~。」
「お疲れ様です、杉田取締役。」
夕美子。
「それにしても綺麗になったよね、一段と、夕美~~???」
その春樹の声に夕美子、
「はい…???」
そしていきなり健之が、ドキリ。
夕美子、
「な…、な~によ、もぅ~、いきなり…。」
照れるようでもあり、そしてまた恥じらいのようでもあり。夕美子。
「いや、だってさぁ、カミさんがしっかり確かめて来い。なんて言うからさぁ。」
「いやいやいやいや。」
春樹の方を向いて両手をひらひらとさせながら。
「そういう…。」
「いらっしゃいましたか…。」
ポツリと與門。
「…の…ようで…。」
健之。
「あら…、矢萩さん。どうかした…???今、ちょっと、びっくりしたような…???」
そんな與門の声に健之、何とか繕うような感じで、
「いえいえ。そのような事は…。」
そして、自分たちの方に、ゆっくりと近づいて来る5人の姿に、
さりげなく手を振る健之。
その健之の顔を見てにっこりと微笑む瑞樹と美崎。
「お疲れ様です、杉田取締役、與門編集長、新條デスク。そして、矢萩副編集長。」
丁寧に瑞樹。
春樹に手を上げて挨拶する憲次。
「ここからは…、乾取締役…???」
微笑みながら憲次に振る瑞樹。
クスリと笑って美崎。
瑞樹の左隣の女性が一ノ瀬美鈴。目の前の4人に丁寧にお辞儀をして…。
次に美琴。
「では、僕の方から…。」
憲次。
「既に、挨拶は交わしていると思うが…。今度ソフィアで編集者として…。」




