手を握って…。 vol.183 「私…。やっちゃった…???」
「じゃ、おじちゃん、ワコウちゃん、ご馳走様でした~~。」
それぞれが、洋造と和弘に挨拶をして、タクシーで、そして徒歩で駅に向かう。
「若~~、お出で~~。送ってくよ。」
若に手招きして、タクシーに乗り込みながら煌。
「わはっ、甘えちゃえ、甘えちゃえ、若。」
両手を打ちながら心。そして、若の背中を押しながら亜季、
「ほぃほぃ。旦那様~~、編集長~~。お願~~い。」
若、
「すみません。お言葉に…甘えま~~す。」
「は~~い、いらっしゃい、いらっしゃい。」
若を抱き寄せ運転手に煌が声を掛け、ドアが締まり、動き出すタクシー。
車内から外に手を振る煌。
「さて、歩きますか。」
健之。
「副編集長~~、もう一件行く~~。」
ニコニコしながら、健之の左腕に絡む真奈香。
「んじゃ私も。」
と言いながら、健之の右腕を占領する心。
「う~~っわ。モッテモテじゃな~~い~~。副編集長殿~。」
後ろ向きに歩きながら茶かす亜季。
そんな亜季の左肩を叩いてケラケラ笑う夕美子。
「…は~~、良いんだけど…。真奈香も、心も…、明日、撮影、早いんじゃなかったかしら~~。」
にっこりと睨み付けるように亜季。
「あっ、そうだった~~。朝一番で横浜だった。」
そう言いながら、真奈香、自分の額をペン。
「康太~~。寝坊すんなよ.~~。」
「はいはい。私は、何の因果か分かんないけど、朝から大阪~~。」
心。
「でも、心ちゃん、しっかりと美味しいもの、食べられる~~。」
健之。
「まっね~~。グルメ情報はね~。…さてと。では、素直に帰って休みますか~~。」
「そうそう。それが一番~~。」
夕美子。
少し離れた場所で腕組みしながら話をしている美紅と信玄。
そして、駅の改札を過ぎて、それぞれに別れるメンバー。
既に帰宅してお風呂に入っている若。目を閉じながら、
「ふ~~。」
そして自然に頭の中に甦るあの場面…。
「私…。やっちゃった…???」
唇を尖らせながら、ゆっくりと首から顎、そして…、
「ぶくぶくぶく…。」
與門夫婦の寝室。
ミュージックマガジンのページを繰りながら早瀬、
「なぁ、ママ…。夕美ちゃん…。もしかして…???」
ドレッサーの鏡の中の早瀬を見ながら煌、
「ふ~~ん…???」
「まさか…、矢萩…さん…???」
ナイトクリームを塗りながら煌、
「さすがは旦那様。ふふ…。」
「えええええ。…ってぇ~事は…???マジで…???木乃美ちゃんも…夕美…綺麗になった…って…、言ってたけど…???」
「んふふふ…。さて…。本命は…誰…かしらん…。」
そう言いながら布団を捲りベッドの中に。
早瀬、自分の隣に落ち着く妻に、
「いやいや…、本命って…???おぃおぃ。」
その時、いきなり早瀬の脳裏に、
「あれ…???確か…。」
そんな旦那の声に煌、
「ふふ。」
「おぃ、ママ。」




