手を握って…。 vol.177 夜空を見ながら香澄。
「初めてのお店で…、しかも…美味しい料理食べて、テンション…上がったかな~。ヤブ~~。キャハハハハ。」
そう言いながら香澄の肩を抱く様に真奈香。
両手を頬から放して、
「なんだか…恥ずかしい…。」
香澄。
洋造、
「けけけけ。旨ぇだろう、そのメニュー。ん~~???」
香澄、
「はい。とっても。」
面々笑いながら…。
数分後、香澄、
「ごちそうさまでした。」
和弘、
「どういたしまして。お口にあって、ありがとうございました。」
「いえいえ。物凄い、美味しかったです。」
そして、
「じゃ、私…そろそろ。真奈…。」
真奈香、
「うん。だね。おし。じゃ、私も…。デスク~。ヤブ、送ってくわ。」
夕美子と健之を見て。
夕美子、
「おっ。」
健之、
「うん。よろしく。」
「じゃ、おじちゃん、ワコウちゃん。」
真奈香。
「おっ。」
「おやすみなさい。」
洋造、和弘。
真奈香、ドアを開けて、
「わぁ~。」
いきなり目の前に、
「はっはは~。真奈香~。」
亜季である。
「わお。珍しい~~。ヤブちゃ~ん。」
香澄、
「はは、お疲れ様で~亜季さ~ん。」
そして亜季の隣で康太、
「お疲れ~っす。」
「かか。腹減った~~って、言ってたから、連れてきた。」
亜季。
「ふふ。康太~。おねえさんから奢ってもらえ。」
真奈香。
「へへ…。」
「こんにゃろ。あ~まえるな~。」
康太の頭をコツンと。亜季。
「これからヤブ、送って帰るわ。」
真奈香。
「うん…。そっ。じゃ、気を付けて~。」
通りを歩きながら真奈香と香澄。
香澄、
「お~いしかった~~。うん。」
真奈香、
「ふふん。でっしょう。」
「あの人…。」
真奈香、
「ん~~???ワコウちゃん…???」
「うん。…高梨さんって…言ったっけ…???」
「うん。高梨和弘、ワコウちゃん。」
「おっきくなる人だね~~。」
そんな香澄の声に真奈香、
「へっ…???」
「ねね、真奈~~。」
「ん~~???」
「あの人、誰か…好きな人…いる……???」
「えっ…???えええ…???」
いきなりの香澄の声に戸惑う真奈香。
「ひょっとしたら~~。」
夜空を見ながら香澄。
「ワコウちゃんに…好きな女性…。んんん。いない。うん。いない、いない。だって…、東京来てまだ…。数か月…。」
「へっ…???そうなの…???」
「うん。」
いきなり歩く足が止まる香澄。
真奈香、2、3歩歩いて、後ろに、
「ん…???」
香澄、
「真奈~。ちょっ、ちょっ。」
真奈香を手招き、そして真奈香の左耳に…。
「あの…さ…。」
「うん。うんうん。………。!!!!!え―――――――っ!!!」
真奈香の耳から一旦離れて、
「うん。」
真奈香、
「うっそ。」
「そして。」
また真奈香の耳に。
「うんうん。……???……はい…???」
香澄の口から離れて真奈香、右手を横に振って、
「いやいやいやいやいや。いやいやいや。それは…ないでしょ。幾らなんでも。」




