手を握って…。 vol.174 ひとりの女性に話しながら真奈香。
「うんうん。私も初めて見た。何か…オーラが凄い。」
ひとりの女性に話しながら真奈香、ベルモンドのドアを開けて、
「こんばんは~。おじちゃん、ワコウちゃん。」
そして真奈香の後ろから入ってきた女性、
「桜華」の人事部の藪香澄である。
「こんばんは~。」
なんともおっとりと店の中に入る香澄。
「おぅ、真奈香~。お疲れ~~。そちら…の…方…は…???」
「ほらほら、ヤブ~~。ここ、ここ。」
ゆっくりペースで香澄、カウンター内のふたりにペコリとお辞儀して、
「お邪魔…しま~す。」
洋造、
「けけけけ。どうぞ、どうぞ。もうじき、ブリリアントの連中が、ぞろりと…。」
その声に香澄、
「えっ!!!あっ、私…、それじゃ…、失礼…。」
そんな香澄に真奈香、
「な~に言ってんのよ~~。おじちゃん。こう見えて、ナイーブなんだから~。ヤブ~~。だ~いじょうぶだって。私がいるから。」
思わず後ろへ、
「おおおおお…。」
洋造。
和弘、にっこりと、
「いらっしゃいませ。」
真奈香、
「こちら、藪香澄さん。うちの人事部なんだ。」
洋造、
「へぇ~~。こ~んな可愛い人が人事部に…いたんだ。」
真奈香、その声に口を尖らせて…。
「あぃ。すいやせん。」
洋造。
「私の…唯一の同期が、この藪香澄。性格はおっとりしてるけど、とにかく人を見る目は凄いよ~~。」
和弘、口を尖らせて、何度も頷きながら…。
洋造、
「ベルモンドへ、ようこそ。こんなじじぃだけど…、今後とも…よしなに。てへへへへ。」
「編集長のおじさん。」
真奈香。
「うん。知ってる。…けど、お会いするのは…初めて。なんか、とっても、やさしそ…。」
香澄。
「ほらほら。…っでしょう。おじちゃん、どうよ、一目見て、ちょっと声聞いただけで~。」
鼻の下を伸ばして洋造、
「こりゃ、こりゃ、敵いませんな~~かかかか。」
「…で、こちらが…。」
真奈香。
自分の方に手を差し伸べられて和弘、首を傾げて、
「…ん…???」
「今日のお目当ては…ワコウちゃん。」
真奈香、
「ふふ~ん。聞くところによると、なんと、今、ワコウちゃんの料理、結構評判なんだって。」
その話を聞いて和弘、
「えっ???ええええ…???…うそ。」
「…でもって、この藪香澄。前々から私に、連れてって~って、頼まれてたの。」
洋造、
「へぇ~~。おぃ、ワコウ~。」
「い…いや…。…と、言われても…。」
「照~れやがって~。」
真奈香、
「高梨和弘さんがこの人。だから、ワコウちゃんって、言ってる。」
香澄、
「うんうん。何だか凄いカッコいい。」
真奈香、
「ふふ~ん。」
和弘の顔を見て。
「な~んでも、作れるよ~~。」




