手を握って…。 vol.173 「部数…、ソフィアに持ってかれんなよ。」
「しかも…若ちゃんも一緒に異動なんて。ねね、夕美~~???」
由香里。
「…ん…???」
夕美子。
「当然、矢萩さんと若ちゃんの…???」
その由香里の声に、
「ん~~。歓迎会…するって…。」
「当然…。」
口を一文字に夕美子の目を見つめるように由香里。
「ふん。ご推察通り。」
「ほっほっほぅ~~。」
腕組みをしながら由香里。
そんな由香里に、
「あいあいあい。今度の金曜日、19時。…どうせ。」
「ふふん。ゲリラ攻撃。」
にっこりと。
「へっへ~~。ワコウちゃん。どんな料理出てくるのか…、それも…楽しみ~~。しっかりと…おみや…期待してよね~~。」
そんな由香里を見て、夕美子と健之、
「ふふ。」
「お待ち申しております。はい。」
そして、
「こちらが今度ブリリアントの副編集長になりました矢萩です。よろしくお願いします。」
亜季、自分の担当クライアントに。
その後も真奈香、美紅、心。それぞれの担当のクライアントに挨拶周り。
真奈香、
「凄いよ~副編集長~。みんな…、好印象。ふふ、さっすが~~。」
そしてこちらでは…。
「へっ。そっか~~。ソフィアの矢萩さん…ブリリアントに異動…なったか~~。…道理で…。」
美紅から話されてカメラマンの漣太郎。
「なに、道理でって…???」
美紅。
「うん。ほら、俺の先輩のカメラマン。」
「あ~、うん。…掛川…さんね…。あっ、そっか。彼…ソフィア…専属…。ちょっと…、苦手なタイプ…。」
「その…苦手なタイプが…。」
美紅、
「おぃ。」
「ソフィアに2人、新しい人が入ったって…。一之瀬姉妹。凄いぜ、彼女たち…。まっ、前々から先輩からは話し、あったけど…。」
「へっ…???漣太郎も知ってんだ、その…一之瀬姉妹…???」
「あぁ。特に姉の一之瀬美鈴。彼女…。さて…。部数…、ソフィアに持ってかれんなよ。」
そんな漣太郎の声に美紅、
「う…、うん。」
そこへ康太、
「美紅さん、矢部さん。準備できました。」
美紅、
「おっ。」
「んじゃ。行こか。」
美紅の右肩に手を掛けて漣太郎。
「うん。…あっ、それ…私持つよ。」
「バ~カ。持ってから、こけられたらこっちが困る。大事な人に怪我はさせられん。」
口を尖らせて美紅、
「へ~~ん。はいはい。」
漣太郎の右腕に絡みながら。
「おいおい。そっちの方が重てぇよ。」
「かかかか。」
壁側のコーヒーメーカーからコーヒーをカップに。
そして体を一回転、向き直って夕美子。ぐるりと局を見回しながら…。
「ん…???」
右側に向けた顔が、中々元の位置に戻らない…。
その先の若を見て思わず、
「くくく…。…ったく~~。」
そして、
「信玄~~~。」
両肩をドキンと信玄。
後ろを振り向いて、照れながら頭を掻く。
夕美子、
「ばか。」




