手を握って…。 vol.017 「おぅ~いらっしゃい。」
「おぅ~いらっしゃい。」
店に入ってきた4人を見て洋造。
「こんばんは~。」
男子ふたりを連れ添っての真奈香と美紅。
康太と信玄、
「ども。」
ストレートにカウンターに座る4人。
そして、カウンターの中に入ってきた男性を見つけて真奈香と美紅、
「あ…れ…???おじちゃん…、新しい…人…???」
そんな真奈香と美紅の声に洋造、
「ん~~。あぁ~~。ん…まぁ~~。なんだ~~。料理見習いで…、俺んとこで…。まっ、修行って…やつかぁ~。かかか。ワコウってんだ。可愛がってやってくれ。」
真奈香と美紅、目をパチクリと…、
「ワ…コウ…さん…???えっ…???」
康太と信玄も…、顔を見合わせて…、
「ワコウ…???」
洋造、
「あっ、すまん、すまん。そりゃ、なんつ~か~。その…、ニックネーム…って~やつだ。かかか、すまねぇ。」
そばで和弘、照れながら…、
「洋造さん…。」
洋造、
「高梨…和弘…ってんだ。可愛がってくれ。歳は…25だ。」
「えっ。25って…。じゃ…僕よりひとつ…上…。」
康太。
「高梨、和弘…さん。」
真奈香。空を見ながら、
「…と、言うと…、かず…。昭和の和。…と~。広い。あっ、そっか。…で、音読みでワコウ。ふふ…、かっわいい~~。」
洋造、真奈香の顔を見て、
「真奈~~。…惜しい~~。」
美紅、
「えっ…違うの…???」
「昭和の和と、弘法大師の弘だ。」
「えっ、どういう字…???どういう字…???」
隣の美紅に康太。
「バカ、あんた康太、どこの大学出てんのよ。こう。」
康太の頭をペンと叩いて。止まり木に、「弘」と書いて。
「あっ、そっか…それがあった。」
「…ったく~~。ようやく企画…認められたって言うのに~。陰じゃ夕美子、喜んでたんだからね~~。」
美紅の右隣で真奈香。
「ほぇ~。康太~。良かったじゃねぇか~~。え~~。」
洋造。
「ワコウ…さん。へぇ~~。な~んか…かっこいいっすね~。」
信玄。
にこやかに和弘、
「ありがとうございます。よろしくお願いします。」
「ふふ~ん。その子…、凄い名前の持ち主よ~~。」
和弘に美紅。
「えっ…???」
和弘。
「当てたらワコウちゃんに、一杯おごっちゃう~。」
グラスの水を飲みながら美紅。
「かかか。美紅~~。分かる訳ないよ~。難し過ぎるって~~。」
真奈香。
「じゃ、ヒント~。上杉と言えば~。」
美紅。
「…まさか…、謙信って事は…???」
和弘。
「ブッブ~~。」
そして、カウンターの上で、匍匐前進の恰好の真奈香と美紅、和弘の顔に注目して…。
和弘、
「ま…さか…。まさか、まさか…。」
洋造、
「くくく。」




