手を握って…。 vol.170 「姉をからかうもんじゃない。」
「夕美子さんって…言ってたから…。いつもは新條さんって…言われてんだろ…。」
倫洋。
その声に少しまた赤くなって夕美子、
「ばか。姉をからかうもんじゃない。」
「かかか。赤くなった~~。……。けどさ…。誰…???他にも…素敵な人って…???」
夕美子、
「えっ…???」
「洋造さん…、それだけは…口、濁して言ってくれなかったけど…。」
「あっ。いや…。…って…、誰だ…???」
その夕美子の表情と声に倫洋、
「姉…ちゃん…。」
夕美子、
「何よ。」
「あの…さ…。」
俎板で包丁を使っている夕美子の背中に、
「よう~やく…、だ~ね~。へへへへ。まっ、誰でも良いけどさ~~。…ごまかすの…、下手。」
「うるさい。食事して帰ってんだから、シャワーシャワー。お風呂、お風呂。」
「ヘ~イ。」
そう言いながら残ったビールを一気飲みして、
「さてと…。」
自分の部屋に入っていく倫洋。
いきなり溜息をつく夕美子、
「ふぅ…。」
そして、
「参った~~。あ~ん…、まさか…。」
ルームウェアで机の上でファッション雑誌をアレコレと見ながらメモを付けている若。
髪をバンダナで結んで、
「ふんふんふん。」
そして目の前のフォトスタンドをチラリと見て、
「ニッ。くくくくく…。」
そして、両手を天井に、
「バ~ンザ~イ。ひゃっほう~~。」
玄関を開けて健之、
「あれ…???…って~事は…。」
男性の靴を見て。そして玄関からリビングへ、
「た…だ…いま~~って…。はは。や~~っぱり~~。」
「おっかえり~~。」
瑠唯子。
「おぅ~。おかえりなさい。お邪魔してま~す~。」
瑠唯子の婚約者、国谷五大である。
「いらっしゃい、五大さん。」
「ヤゴっちゃんと、式場の下調べ。その後はあれこれと買い物して~。今夜、ヤゴっちゃん、お泊りね~~。」
にこにこしながら瑠唯子。
「お世話になります。」
五大。
「どうぞ、どうぞ、お構いなく~~。…あっ、…てぇ事は…。一杯…やりますか。」
健之。
「いいね~~。うん。健之君となんて、ひっさしぶりだもんな~~。」
「んじゃ…、なんか…作ろうか…。」
「うん。ありがと。」
五大。
健之、冷蔵庫からビールを、キャビネットからタンブラーを2つ。
「あっ、姉貴~、飲む…???」
瑠唯子、
「うん。お願い。戴きま~す。」
「OK」
「…で、五大さん、父さん、どんな感じ…???」
ピールをタンブラーに注ぎながら。
「ほい、ありがと。」
ビール瓶、健之から五大に。
「さすがは親父さん、工事進んでるよ。」
そして、
「瑠唯ちゃん。」
「ほいほいほい。では…、まずは乾杯だけ。」
3人揃って、
「乾杯。」
「…で、そっちは…健之君。」
健之、
「ん~~~。」
何かしら反応鈍そうに…。
五大、瑠唯子、
「…ん…???」




