手を握って…。 vol.166 「腕に撚りを付けて作んねぇと…。」
「…っと~~、すまねぇ。」
洋造、友紀の顔を見ながら、
「まだ…おじちゃんの自己紹介…してなかったな。こりゃ失敬。」
そして気を付けをして、
「小坂洋造と申します。」
コメカミに手の先を当てて。
その洋造の真似をして友紀、
「はい。町田友紀と申します。」
そしてコメカミから手の平を直してにっこりと、
「ははは。友だちの友と、21世紀の紀の字で~す。」
洋造、
「そうか、そうか、友紀ちゃんか~~。…で、その友紀ちゃん、何かめでたい事。」
「うん。友紀がネイリストの1級、合格したんだ。その記念で、美味しいもの食べよって。」
友紀が言う前に倫洋。
和弘、
「凄い!!!」
洋造、
「ひゃ~~。や~るね~お嬢さん。いや…友紀ちゃん。」
照れながら友紀、
「へへ。ありがとうございます。」
「んじゃ~、ワコウ、腕に撚りを付けて作んねぇと…。」
「そうそうそう。ここの料理、もの凄い美味しいって、友達から聞いて、来たんです~~。」
和弘、
「えっ…???」
洋造、
「かかか。知れ渡ってるみてぇだな~~。え~~ワコウ~。」
和弘、ますます赤くなって、
「いやいやいや。…そんな…。」
「大概…のものぁ~作れる。しかも、ブリリアントの連中なんぞ、こいつの料理、とにかく惚れてるからな~~。ブリリアントの取引先の人も然りだ~な~。」
腕組みをしながら海老反りにもなりながら洋造。
「へぇ~~。凄~~い。」
そして、メニューを見て友紀、
「んじゃ、んじゃ。」
倫洋、
「ふ~~ん。ん…じゃ…、俺も…。」
そしてふたりの注文をそれぞれ作り、それを一口友紀、
「えっ。うそっ。」
口に手を当てて、
「お・い・し・い…。」
そして、
「ねね、倫。食べてみ、食べてみ。」
自分のスプーンでメニューを掬って倫洋の口に。
いきなり倫洋の表情が…、
「!!!」
そして、
「旨っ。」
「ねね、でしょ、でしょ。」
「へぇ~~。ワコウさんって、料理…上手なんですね~~。友~、もう一口。」
友紀、
「へっへ~~。」
洋造、
「どうでぃ~。姉ちゃんの彼氏の料理の味は~~???」
「洋造さん…、勘弁してくださいよ~~。」
和弘。
「な~に照れてんだぃ。けけけけ。」
「新條さんには…ちゃ~んと、素敵な人…いますって…、きっと~。…俺なんか…。」
「はっ???誰でぃ、その素敵な人って…???」
洋造。そして右手で顎を撫でながら、
「あっ。あ~~。な~るほど…ねぇ~。」
その洋造の声に、友紀、倫洋、
「えっ…???」
「姉ちゃんに…、他にも…???」
洋造、
「まま、それだけは…倫…。姉ちゃんから…直々に…、聞いてくれ。これ以上は…、他人様の事ぁ…。」
倫洋、
「あ…、あ~~。」
「はい。新條さんの分、出来ました~。」
和弘。
「ひゃ~~。これも…美味しそう~~。」
友紀。
「いっただっきま~す。」
倫洋がスプーンを持つ前にスプーンを取って口に。
「うんうんうん。」
眉毛を上下に、そしてにっこりと、左手でVサインを、
「ふふ…、めちゃ旨。」
そして倫洋も自分の口に。首を傾げて、
「すげぇや…これ…。」




