手を握って…。 vol.165 「姉ちゃん、この人と…、知り合いなんだ…。」
口をへの字にしながら聞いている洋造。
両手で、何かを押さえるようなゼスチャーをしながら、
「すいません。誤解のないように…。」
洋造、そして、目の前の男性と女性を見ながら和弘。
洋造、
「ん~~???」
「新條さんには、親しくしてもらってますが、ただ、それだけです。それ以外は、一切、何も、ありません。」
「…ってやんでぃ。ワコウ~~。」
その声で倫洋、
「えっ…???わこう…???」
洋造、
「あん、こいつの…、まぁ…なんだ、ニックネーム…って…、やつだ。」
「わっ、かっわいい、わこうなんて…。」
にこにこしながらの友紀。
「いやいやいやいや。姉ちゃん、この人と…、知り合いなんだ…。」
倫洋。
「おんや。んじゃ、倫…。おまえ、何~にも夕美から聞いてねぇのか…???」
洋造。
そんな洋造の声に倫洋、
「い…いや。聞くも何も、姉ちゃん、仕事の話なんて全くしねぇから…。」
そして、
「…まぁ…、この前、與門さんの旦那さんの事は…、新聞でも…。…だから…、その…程度で…。…あっ、そう…言えば…。あの日…。ジョギングからかなり遅くなって帰ってきて…。なんか…様子…。」
その倫洋の話に洋造、和弘に指を差して。
「けけけけ。」
和弘、思わず赤くなって…。
「姉ちゃんと一緒に、朝…ジョギングしてるんだとよ。けけけ。」
洋造。
その声に倫洋、友紀、
「うそ―――――――っ!!!」
和弘、
「いやいやいやいやいやいや。いや…。あ~~。参ったな~~。どうす…。」
倫洋、目をパチクリと、そして、少し怒ったような…。
和弘、
「あ、いや…。でも…、それは…、本当の事…だから…。仕方…。あっ、いや…でも…。」
友紀、にっこりと、
「倫~~。夕美子さん、良かったね。素敵な人出来て…。」
和弘、
「いやいやいや。ある朝、偶然夕美子さんと、ジョギング途中で、公園でバッタリ。…で…、それから…ま…ぁ。」
友紀、
「わは。今、夕美子さんって言った~~キャハ。」
洋造、
「けけけけ。いっつも、新條さんって言ってるくせして。ねぇ~。」
そう言いながら友紀を見て笑顔の洋造。
友紀、
「へぇ~~。」
仏頂面の倫洋。
そんな倫洋の右肩をペンと叩いて友紀、
「何、仏頂面してんのよ。私、夕美子さん、大好きだから。え…っと~~。」
和弘をじっと見て。
「ワコウだよ、ワコウ。もうみんなからそう呼ばれてっから。」
「そっか。ワコウさん。お姉さんの夕美子さん。これからもよろしくお願いします。ねっ、倫~~。」
まだ仏頂面が取れない倫洋。
「こらっ、倫。今日は私のお祝いだぞ。」
「おやおや。お嬢さん。何か…良い事でも…???」




