手を握って…。 vol.162 「ソフィアに、女性編集者を2人…。」
その数か月後には突然前触れもなく、そのブランド雑誌は廃刊。
と、同時に新規ブランド解散。
その後転々と雑誌社に身を寄せるも、余りの奇抜さにどの雑誌社でも長続きしない。
そして編集歴5年後に小さな雑誌社に入社し、細々と編集者の仕事を熟している。
同時期に妹の美琴も姉の雑誌社に入社。
実はこの妹の一之瀬美琴が、美崎と大学が同期なのである。
小さい割にはそこそこの業績を挙げながら編集デスクにまで上り詰めての美鈴。
ところが雑誌社の経営者が金銭的理由で社長解任。
社長が交代した後に編集長の人事異動。
これがこの雑誌社としても運命の皮肉により、
次第に右肩下がりの方向へ進んで行ったのである。
その頃から頻繁に発生していたのが記事の差し替えである。
美琴から桜華の話を持ち出された美鈴、
「桜華…、ソフィア…か…。まだ…設立して2年…経ってない。」
その数日後、美崎、
「美琴…、OK出たよ。うん。」
瑞樹、與門、そして夕美子と健之に向かって、
「以前からある話が舞い込んできてたのよ。」
「ある話…???」
與門、夕美子。
「…で今回、ソフィアに女性編集者を2人、新規に採用されることになった。」
健之、
「ふた…り…???」
「えぇ…。」
瑞樹。
「そのふたりの配属によって、ソフィアの新しい編集デスクに柿本美崎が昇格する事になったの。そして…、若…。」
若、
「はい。ブリリアントで、頑張らせて下さい。」
夕美子、
「ふんふんふん。な~るほどね~。」
與門、
「…で、そのふたりって…、瑞樹…???」
「一之瀬美鈴、そして妹の一之瀬美琴。」
その瞬間、與門、夕美子、そして亜季、
「うそ。あの…、一之瀬姉妹…。」
瑞樹、
「えぇ…。なにやら美崎がお膳立て…、したみたいなの。」
「へぇ~~。美崎…さんが…。」
亜季。
「社長直々に…、と言う事で。」
瑞樹。
「…と、いう事は…。」
與門。
「えぇ~~。その辺のご推察は…。お任せするわ。」
與門、頭の中で…、
「…ふ~~ん。」
夕美子、若の顔を見て。
「明日にはふたりとも、ソフィアに着任する事になってる。そう言う訳だから…。矢萩さん、若。今までソフィアでありがとう。お礼…申し上げます。」
丁寧に頭を下げて。
健之、
「そんな…。編集長~。」
美紅、心、
「一之瀬…姉妹って…???」
真奈香…、
「私も…知ら…な…い。」
瑞樹、
「じゃ、ふたりとも…、しっかりね。」
健之と握手をして…。
「與門、夕美子。お願いね。」
與門、
「うん。分かった。」
夕美子、
「はい。ありがとうございます。」
そんな夕美子に瑞樹、
「ふふ…。じゃ。」
ドアに向かう瑞樹。
心、
「び~~っくり。ん~~。でも…、わ~かちゃ~ん。」
思いっ切り若を抱き締めて心、
「一緒に仕事できる~~。わおわお。」




