手を握って…。 vol.161 夕美子、「與門…これって…???」
夕美子、
「與門…これって…???」
與門に目配せして夕美子。
與門、
「ふん。なにやら水面下で動きが…あった…みたい。」
夕美子、
「水…面…下で…???」
顰めた顔をして健之の顔を見て…。
健之、全くチンプンカンプン。両肩を上げて、
「…さっぱり…。」
そして小さな声で夕美子に、
「…って言うか、ソフィアに行ってないし…。」
夕美子、
「まっ。そりゃそうか…。」
若、赤い顔して、コクリと頭を下げながら、
「未熟物ですが。よろしくお願いします。」
亜季、
「な~に、なになに~若ちゃ~ん。凄い事…やってのけたって~~。」
真奈香、
「そうそう。アンケートで2位。凄いよこれって~~。」
そして、
「康太~、信玄~、うかうかしてらんないよ~~。」
康太、信玄照れながら、
「はい~~。」
「ばか~。そこ、照れるとこじゃないでしょ。」
美紅。
與門、瑞樹、
「ふふふ…。」
與門、
「さて、瑞樹。このまま~って、訳は…。」
瑞樹、
「…だよね~。」
「ふん。」
「実は…。」
瑞樹。
3週間前、某編集局。
販売されたばかりの雑誌を持って一之瀬美琴編集局に駆け足で、
編集デスクの姉の一之瀬美鈴に、
「ねね、デスク、これ。」
美鈴、
「ん~~。!!!!なに、これ!!!」
いきなり窓際の編集長橋田千夏に、憤慨したように、
「編集長!!!なんですかこれ!!!」
千夏、
「まま…、美鈴~~。そう、言わない。そう言わない。上からの…指示で…。どうしようも…ないんだよ~~。」
ボストンのメガネに指で触れながら…。
「上からの指示って、これで何度目ですか!!!」
つまりは記事の差し替えである。
印刷ギリギリでの差し替え。編集長権限で、他の編集者では手が出ない。
口を一文字に目を吊り上げて、
踵を返して自分の机の引き出しから一枚の封筒を取り出し、
そのまま叩き付けるように辞表を千夏の前に、
「辞めさせて戴きます。」
「そっか~~。…遂に…辞めたか。」
美崎。チューハイを飲みながら…。とあるバーのカウンターで…。
「うん。…どうしようもないよ。あんな事してでも、売りたいんだから…。もうお手上げ。」
美琴。
「…で、結局、ふたりして…???」
「ふん。姉さんはもう~怒り心頭。」
「…でっしょうね~。」
「…で、美崎~~。」
「うん。一応、話しは通してある。多分大丈夫。」
凡そ1ヶ月前から美崎より話を持ち掛けられていた桜華の取締役乾憲次。
一之瀬美鈴、美琴姉妹の情報を集めた上で社長の藤間に報告。
二言返事でOKサインが出たのである。
大学卒業と同時に、某出版会社に入社し、いきなり新規ブランド雑誌を立ち上げ、
その編集長に抜擢の一之瀬美鈴。
けれども、余りの人気のブランドに逆に社風に合わないと反発される。




