手を握って…。 vol.157 夕美子、「来た来た~。来た来た~ふふ。」
夕美子、
「来た来た~。来た来た~ふふ。」
亜季、
「わっ。早瀬さ~ん。旦那様~~。かかかか。あ~~。あ~~。な~るほど~~。」
夕美子、
「早瀬さん。」
早瀬に向けて敬礼。
「おっ。元気だね~いつも~夕美ちゃんは~~。」
「お蔭様で…。」
早瀬にコクリと夕美子。
そんな夕美子の後ろを通って煌、
「はい、パパ。こちらが…矢萩健之さん。…矢萩さん。この度はほん~とにありがとうございました。主人の早瀬です。」
早瀬、初めて逢った矢萩に深々と頭を下げて、
「矢萩さん。この度は、ほん~とに…、ありがとうございました。なんとお礼していいか。」
そして矢萩の前に両手を出して…。
矢萩、そんな目の前の男性を見て、すかさずスツールから降りて、
「いえいえ。とんでもございません。初めてお目に掛かります。…今…ブリリアントで新條さんや亜季ちゃんたちと一緒に仕事させて戴いています。矢萩健之と申します。この度は…、本当に良かった~うんうん。」
早瀬の両手を握って。
「パ~パ、パ~パ。」
裏口から女の子の声。
「お~~。美希ちゃんも来たか~。」
和弘。
そしてその美希の後ろから、
「どんな人だろうね~。」
瀬戸である。
洋造、
「かかか。瀬戸さん。」
矢萩の前で丁寧に何度もお辞儀をする瀬戸。
そんな瀬戸の真似をして男性の前でお辞儀をする美希。
健之、
「頭を上げて下さい、與門さん。」
そして美希の頭を撫でながら…、
「うんうん。」
うっすらと目を潤ませる由香里、夕美子、そして亜季。
鼻水を啜る煌、
「へへ…。」
洋造、数回頷いて、
「うんうん。」
和弘、
「はは。」
「7年…だそうです。」
早瀬。
健之
「7年…。」
「はい。家族ある男性を好きになって…。もちろん男性と女性ですから…、それ相応の行為も…。」
早瀬の隣で夕美子、
「不…倫…だもんね~。」
「あぁ。最初は男性から、そして女性が惹かれて行った。…そして挙句は女性の方から外交と言う名の、営業目的に…。」
由香里、
「ふ~~ん。」
「そして、いつしか…、その外交と営業目的が…、いつの間にやら…違反行為へと…。」
「でもさ…その…女性…、杉浦って…。気付かなかったのかな~。いけない事をしてるって…。」
早瀬の左隣で夕美子。
「気付いて…いたろうさ…。でも…、止められなかったんだろうね~。」
「殺してしまいたいほど、愛したって…。」
カウンターの中で煌。
「ごくごく…、何処にでもいる女性銀行員。それがいつしか周囲の男性たちから注がれる熱い視線…だと…。」




