手を握って…。 vol.015 「準備中」のプレートを見て…。
「準備中」のプレートを見て、
「さて。」
ドアを開けて、
「こんにちは~。高梨で~す。」
カウンターの中の洋造。
「おぅ~~ワコウか~。来ましたか~~。ははは。元気でなにより。久し振りだな。」
「はい。これから、よろしくお願いします。」
ラウンジ・バー「ベルモンド」のドアを開けて入ってきた人物、
名前を高梨和弘と言う。
九州の長崎の店で料理見習いをしていた。
けれども、その見習いをしていた店の店主が突然のくも膜下出血で倒れてしまい、
その店での見習い継続が困難となってしまった。
その店の店主の妻が、昔、店主と切磋琢磨した料理人の小坂洋造に、
高梨の面倒を見てくれと洋造に相談を持ち掛けたのであった。
昔の好みでもあるその店主、名前を因幡源治と言う。
歳は75歳。年に数回、お互いの店で顔馴染みでもあり、
因幡には必ず高梨が同行していた。
「大変だったな~源さん。ん~~。どうだい、その後…???」
準備をしながら洋造。
「え~~。おかみさん、毎日、付っきりです。」
高梨。
「…だよな~~。由紀美ちゃんも、大変だわ。…ワコウ~~。まっ、楽にしてろや。」
「はい。…とは、言いたいんですけど…。」
「ん~~???」
「手伝います。」
「ははは…。そっか。ん~~。んじゃ、頼むか。」
「はい。」
テーブルに並んだ企画書の数々。数十枚。
夕美子、
「康太~~。」
数枚の企画書を手に取り。
康太、ギクリとして、
「はい。」
夕美子、
「真奈香~~。」
真奈香、
「ん…???」
夕美子、その企画書を與門に渡し、
「ふふ…、やっぱり…、これか…。」
真奈香、
「編集長…???」
夕美子、真奈香にウィンクをして、
「それで行く~~。…信玄~~。」
その夕美子の声に、こちらもギクリと信玄、
「はい。」
「美紅からしっかりと…しごかれな~~。康太に追い付けよ~~。」
その夕美子の声に、にこりと信玄、
「はい。ありがとうございます。」
美紅、クスリと…。
夕美子、
「亜季~~。例のヤツは…お願いね~。頼むよ~~。心~~。裏取り…、オッケーなの~???」
亜季、
「任せな。」
心、
「バッチリ。…あっ、それと…デスク…。」
夕美子、
「…ん…???」
凡そ2時間の編集会議。休憩ラウンジに亜季と一緒に夕美子。
亜季、
「ふ~ん。彼って…そういう…。」
夕美子、
「うん。」
そして、
「あっ…。」




