手を握って…。 vol.151 楽夢喜夢から外に出て…。
楽夢喜夢から外に出て健之、建物に振り向いて、
「何とか…、事態は…収拾…出来ましたか…。」
「うん。それにしても…。」
健之の顔を見て、そして通りを歩きながら夕美子、
「び~~っくり。まさか…、ねぇ~~。」
健之、
「えぇ…、まさか…僕らが来る前に、そんな事が起っていたとは…。わお。」
両肘を折って、両手を上に…。
夕美子、
「はは。ねぇ~~。」
いきなり後ろから、
「きゃっ!!!」
「お~~っと。」
その声に振り向く夕美子と健之。
…が…。いきなり、
「ドン。」
ぶつかった拍子に夕美子の体が半ば半回転したようになりグラリと前方に…。
瞬間、健之、
「わっ。」
既に自分では制御出来ない夕美子の体を倒れる寸でのところで抱き抱える健之。
「夕美子さん!!!」
地面の方を向いている夕美子に、
「あ~ぶな…。」
夕美子が顔を振り向いた拍子に、唇に柔らかい感触。
健之もいきなり自分の唇に感じる柔らかい感触。
ふたり同時に、
「!!!!」
そしてすかさずお互いの顔を逸らす。
一瞬の出来事に。
がっしりと抱き締めた夕美子の体を、起こすように、
「あ…あぶなかった…。新…條…さん。」
抱き合ったままで…。
そして夕美子を自分の体から離すように…。
夕美子、唇に指を当てながら…、そして低くい声で、
「あり…が…とう…。」
そして、顔を下に向けて、
「ご…、ごめん…なさい…。わた…し…。」
どこをどう見れば良いのか分からないような感じで夕美子。
頭の中で、
「…今…、何が起こったの…???」
そんな状態の夕美子。
実は夕美子にぶつかったのはスケートボーダー。中学の男子のような感じ。
かなり後方からスピードを上げて通行人の体スレスレに駆けてきたようだった。
だがそのボーダーももはや数十メートル先に。
健之が文句を言うにも既に遠くへ。
そんな事は既に忘れたように、夕美子と健之のふたりの傍を通り過ぎる人、
ふたりを見ながら、にっこりと。
女性はウィンクをしながら。
男性は…、
「や~るねぇ~~。」
鼻の頭をポリポリと指先の健之。そして沈黙するふたり。
赤面状態の夕美子、崩れた感じのする服装を直すように…。
走り易いパンプスを履いているのだが、けれども、
何故か体を立て直して一歩…なのが、その瞬間、右足が、ガクッ。
再び健之の左肩に凭れるように…。
「あっ。」
健之、
「お~~っとっとっと~。だ~~いじょうぶですか~~、新條さん…。」
夕美子、両手で健之の左腕を掴んで体勢を整えて…。
ますます真赤になって…。
「んんんん。あれっ…???…どうした…私…???…またまた…、ごめん…。」
「かかか。」
夕美子の左肩に左腕を回してパンパン。
「じゃ、行きましょうか。」
何故か安心する夕美子。




