手を握って…。 vol.146 「ふっ。ほっ。やってくれるじゃないの~~。」
「由香里、もう一度、そのウェブサイト…???」
メモを取り出し、
「矢萩さん。」
そして由香里の言葉を反芻するように、
「おまーじゅ…、さろん…???」
健之、
「おまーじゅ、さろん…。オマージュサロン。…と…。」
電話の向こう、由香里、
「どう…???見つかった…???」
健之、
「はぁ~~あ…???なんなんだ、これ…???」
そのまま電話機を持ちながら夕美子、健之のパソコンの画像を見て、
「なんで、麻布セントラルムードの商品、こんなとこで、販売されてんのよ。ちょっと、ちょっと、由香里~~。」
電話口に。
「私だってびっくりだよ。さっきお客さんが来て、ここと同じのあるサイトで物凄い安さで売ってるんだけど…。どうして…???って聞かれて…。」
夕美子、
「は…あ…???」
健之、
「まずいね、こりゃ。」
「デスク~~。」
真奈香、心。
夕美子、電話で、
「一体、何がどうなってる…、由香里~~。」
「今…、ルイも調べてるんだけど…。」
遠くからルイの声、そして傍で健之の声、
「デザイン…盗作販売…???」
由香里、電話をルイに、
「あっ、新條さん…、ルイです。今、調べてるんだけど…。これって…、全く許可されて…いないわね~~。…もしか…する…。多分…運営元も…、これ…。」
健之、
「夕美子さん…、これ…。もしかして…、ダミー…。」
ルイも、電話口で、
「ダミーかも…。」
その時、真奈香、心、美紅、小さな声で、
「えっ!!!夕美…子…って…。」
夕美子、
「ダミー…???」
健之、
「当然、詐欺行為。」
「…と、言う事は…。」
夕美子。
「夕美子、どうした~???」
電話口で由香里。
「うん。由香里からの電話のちょっと前に、同じような内容が取引先から…。」
由香里、
「はぁ~あ???うそっ。」
健之、いきなり、
「ふっ。ほっ。やってくれるじゃないの~~。しっかし…。な~にがオマージュ…だって~の。まっ、尊敬する作家や作品に影響を受けて似たようなもの…。けど…、方向性…からして、とんでもないこと、やってますよ~~。どこのどなたか知りませんけどね~~。」
唇を捩じりながら…。
「ふん。」
真奈香、心、美紅、
「矢…萩……さ…ん…???」
健之、机の自分のスマホを持って、
「そっちがその気なら…。なんとか…なるか~~???」
スマホで履歴を見てポン。
後ろの夕美子に振り向き、真奈香、心、美紅。そして信玄と康太、ぐるりと見回して…。
数回のコールで相手が出る、
「おぅ、健之か。例の件は…ありがとな。」
健之、
「正樹おじ。」
その声を聞いて夕美子、
「由香里、折り返し電話する。…矢…萩…さん。」
少し潤んだ目。
由香里、
「うん。分かった。」
真奈香、心、美紅、
「正樹…おじ…???」




