手を握って…。 vol.143 一本の電話に健之。
「はい。ブリリアント編集局、矢萩です。」
一本の電話に健之。
「あ~、はい。お世話様です。…とぉ、小曾根は…今…、席…外しておりますが…。」
斜め向かいの亜季の席を見て、
「何か…ご用件で…???」
電話をしている健之を見ながら夕美子、
「……。」
健之、
「えぇ~、はい。それは…、5日前に発売された私どもの雑誌…。……はい…???」
電話に向かって健之。
「いや…。そのような…。はい。…はい。はいはい。…分かりました。…申し訳…ありませんが…、事実確認させて…戴ければ…。はい。…あっ、いえ…、お怒りはごもっともです。」
夕美子、
「???」
健之、
「すみません。はい。…では…失礼いたします。」
電話に深々と謝って健之。
夕美子、
「どしたの…矢萩さん…???」
近くにいる真奈香、心、信玄も健之の方を見て。
健之、今書いたメモを見ながら、
「おっかしいなぁ~。」
そう言いながら5日前に発売されたブリリアントの雑誌を手に取って、
ページを捲って、メモと見合わせながら、
「…ととと…っと~。おっと、これだ。」
振り返って夕美子の席に、
「今、亜季ちゃんいなくって分からないけど…。これこれ、この画像とこの画像。そして、両方のテキスト。」
夕美子、
「うん。…これが…何か…???」
夕美子の閉じられてあるタブレットを自分に向けて、
「失礼。」
夕美子、
「えぇ…。」
そしてメモを見ながら検索して…。
そのページが出て、クリックして、プルダウンして…。
画像とテキストを見て、健之思わず…、目を閉じて、
「ん~~~。」
夕美子、自分に差し出されたタブレットの画面を見て、
「えっ…???」
雑誌と画面を見比べて…。
「えええええ…???画像とテキスト…、全く…バラ…バラ…。うそ。うそうそ。なんでこんな…???…しかも…、価格表示…。値段…凄い…下がって…る…???…冗談、冗談。有り得ないでしょ。楽夢喜夢さんとの、契約違反になっちゃう。」
健之、
「その…、楽夢喜夢さんの社員の方が、これ見つけてびっくりして、社長の夢野さん、かんかんで今…、電話。ブリリアントさんとしか契約してないのに、どういう事なのこれ!!!…って、物凄い剣幕。」
夕美子、
「いや…。なんで…こんな事に…???」
夕美子のデスクに近づいて真奈香、そして心。
健之から雑誌とタブレットを受け取り、
「わわわわ。」
真奈香。
「何これ、全然違うじゃん。うそでしょ。」
「矢萩さん、亜季と連絡…お願い。」
夕美子。
健之、
「今…やってます。」
「参った~~。拡散しちゃう~~。しかも、どっちが…どっち…???」
健之、
「あぁ~亜季ちゃん。」




