手を握って…。 vol.142 「若…、どうかした…???」
「若~~。ラフレイアウト、どんな感じ~~???」
五月。
「若~~。」
その声に、
「あっ、はい。はいはいはい。」
若、いきなりビクンとして。
「はい。は、一回でいい。ふん。どんな感じ~???」
若の右肩に手を置いて。
「ふん。ふんふんふん。」
資料を持って見ながら…。
「ふん。いい感じじゃん。」
若、
「ありがとうございます。」
五月、少し首を傾げて…、
「若…、どうかした…???この頃、チョイ、元気ないよう…だけど…???…ん~~???」
そんな五月に顔を上げて若、
「はい…???へっ…???…いや…。なんでも…???」
そんな五月の声を聞いて、傍にいる杏美と美崎、
「ん~~???若が…どうした~って~~???」
詰め寄る杏美と美崎。
慌てて若、3人の前で懸命に両手を前に出してひらひらとさせながら、
「いやいや…、なにもありませんってば…。うん。うんうんうん。」
目を真ん丸く、何度も頷きながら…。
そんな若の顔にズームするように近づく3人の顔。
目の前に迫る3つの顔に、観念したように赤くなる若。
突然杏美、
「ぷっ。」
美崎、いきなり両手を打って、
「きゃっははは。」
そして五月は体を起こして腕組みをして、
「な~んとも…、素直じゃのう~。ソフィアのお嬢様は~~。かかかか。」
そして美崎、クルっと振り返り、自分の席に椅子をスライドさせて…、
「かかか、ウブじゃのぅ~。」
杏美、若の肩をポンと叩いて、
「まっ、頑張りな。」
そして黙り込む若。
「えっ…???なになに…???どういう意味…???」
パソコンの画面を見ながら美崎、
「顔に書いてあるよ~若~~。」
若、
「えっ、うそうそ。」
そう言いながら頬っぺたを両手でべたべたと…。
「かかかか。美崎さ~ん。苛めな~い。」
杏美。
「ふふ…。でもね~~。私らにも…、そういう時が…、あったんだもんね~~杏美さん…???」
「かかかか。全くだわ。若~~。どうせなら、あんたの方からって…戦法も…良いかもよ~~。」
若、
「いやいやいやいやいやいや。何の話…してるんですか…。みんなして。」
そして自分のパソコンに振り返り、
「…もぅ~~。」
そして、ちょっとだけ左の方向へ顔を…。
誰もいない席を見ながら…。
「亮ちゃ~ん。画像上がったよ~~。いま、廊下で久美ちゃんとバッタリ。亮ちゃんに渡してくれって。いい感じじゃな~い。ほい。」
若の頭の上から亮輔に封書を渡す瑞樹。
「あっ。お疲れ様です。はい。ありがとうございます編集長。ヨッシ。」
そして席に着くなり瑞樹、
「五月~、若~。例のヤツ…どんな感じ~~???」
五月、
「は~い。デザインの一歩手前って感じですね~。ラフレイアウト、ただいま進行中~。若~。」
若、
「あ…あっ。はい。頑張ってます。」
瑞樹、
「ふん。……。そっ。お~~し。」
机の上の電話が鳴る。
「はい。蜷川です。…社長…。はい分かりました。伺います。」




