手を握って…。 vol.141 「ママ~。パパ…起きない…。」
翌朝、小坂家の座敷でぐっすりと眠っている早瀬。
美希、
「ママ~。パパ…起きない…。」
台所で朝食の準備をしている煌、
「疲れてるから、ゆっくり…眠らせてあげて、美希~~。」
洋造、茶の間で新聞を見ながら、
「いやいや…。凄い事…、やってたんだなぁ~。この…杉浦って~女性…。」
仏壇に向かって両手を合わせて瀬戸、
「恐い時代になったものですね~。」
「エリート証券マンと女性銀行員の不倫…。てめえの家庭がありながらも、女性の誘惑に負けながらのご法度のインサイダー取引。しかも、相手の男性と関係を持つも7年…。…いやいや…。長ぇ~~。」
洋造。
「その…杉浦って…女性…、それほどまでにその男性には魅力的だったんでしょうね~。嵯峨さん…だっけ…。はい、美希~。手伝って~。もうすぐワコウちゃんもジョギングから帰ってくる時間…。」
煌。
布団の中で寝返りを打つ早瀬。
「今で言う、ハニートラップ…。」
ポツリと煌。
「産業スパイ…って、訳か~~。う~~ブルッ。金がらみの…あ~まい~罠~~か~。お~、怖ぇ~~。」
そして座敷の布団に、
「おぃ、早瀬。絶対そんなもんに…首突っ込むんじゃねぇぞ!!!」
睨みながら、そしてニッコリと…。
「まっ、おめぇにゃ…無理だけどな。」
瀬戸、笑いながら、
「くくく。」
むっくりと起き上がり頭を掻く早瀬。
「…ん…???ん~~。」
そしてまた横になり、今度はいきなり、布団をバッ。
「へっ!!!!」
煌、
「おはよ。パパ。」
「…ん…???ママ…。かあさん…???おやっ…さん…???」
いきなり布団にダイブする美希、
「パ~パ~~。」
「おぅ~~美希~。はは。」
美希を抱き締める早瀬。そして…顔を上げて、
「そっか~~。帰ってきたんだ~~。」
「早瀬、ぐっすり寝たか、かかかか。」
笑いながら洋造。
頭をコクリと早瀬、
「はい。ども…。」
「えっ…???えええええ。えっ。ワコウちゃん…???」
ジョギングからウォーキングに切り替えながらの夕美子と和弘。
「えぇ~。」
そして、夕美子の顔の前で両手を合わせて、
「ごめんなさい。」
「朝のジョギングでワコウちゃんと会ってるの…、與門とおじちゃんに…、バレた…か…。しかも…瀬戸さんにも…。」
変顔しながらの夕美子。
「ぶ~~~。」
和弘、
「ほん~とに、ごめんなさい。まさか…こんな事になるとは…。」
何度も夕美子に両手を合わせて。
夕美子、そんな和弘に、
「かかかか。いや…、でも…しゃあないでしょ。事の成り行き上…。」
口をへの字にして和弘。
「でも…、悪い事…してる訳じゃ…ないんだから…。」
「まっ。ですけどね~~。」
そして、気付いたように和弘、
「あっ。矢萩さんに…。お礼…。」
夕美子、
「あ~。それはもうOK。ハイタッチで完了。」
「ハイ…タッチ…???」




