手を握って…。 vol.140 夕美子、テレビ画面を観ながら、「ふぅ。」
そして、同日夕方5時、
「東京住永証券グローバル・マーケッツ本部長嵯峨肇殺害及び、インサイダー取引規制違反並びに名誉棄損の容疑で横浜市……在住の杉浦秋穂27歳を緊急逮捕。」
夕方のニュースで…。
そして都内の大型街頭ビジョンでも…。
既に津嘉山正樹から連絡を受けていた健之、夕美子に振り返り、
局のテレビを…。
そして小坂家でも、夕美子から連絡を受けていた由香里も…。
「あぁ~~。んもう~~。良かった~~。夕美子~~。ワコウちゃん。お手柄~~。ニャハ。悠宇~~。ルイ~~。」
悠宇、
「ん~~。」
Vサイン。
ルイ、
「ホッとしたね~~。」
目を潤ませて、
「うんうん。はは。」
煌、瀬戸の両肩に両手を付いて、
「お義母さん。」
涙を零しながら…。
瀬戸、そんな煌の右手を握って、
「うんうん。良かった。良かった~~。」
母親の腰に両腕をがっしりと巻き付けて美希、
「パパ~~。帰ってくるぅ~~???」
煌、
「うん。」
美希の頭を撫でながら…。
ベルモンドで準備をしながらの洋造と和弘、ニッコリと。
洋造、
「やったな、ワコウ~~。」
和弘、
「ですね~~。うん。」
夕美子、テレビ画面を観ながら、
「ふぅ。」
そんな夕美子の傍に健之、左手を挙げて、夕美子、その手にハイタッチ。
けれども、そのタッチの音は、テレビの音量に掻き消されて聞こえない。
テレビ画面に食い入っている編集局員の安堵の表情。各々、
「やった~~。」
「良かった~~。」
「うんうん。」
「すご~~い。」
同日夜、小坂家に早瀬。玄関で抱き合う煌と早瀬。美希を抱き締める早瀬。
「おやっさん。ご心配、お掛けしました。」
目を真っ赤にさせながら早瀬。
洋造も同じく、
「何言ってやがんでぃ。お帰りでぃ、早瀬。うん。うんうんうん。」
和弘、カウンターの中で、
「ハ~イ。出来ました~~。」
「凄~い。ワコウさんって、何でも作れちゃうんですね~~。」
目の前に出されたフルーツパーラを見ながら若。
「どうぞ。召し上がれ~。何か…甘いもの食べたいって…言われたからね~。」
にっこりと和弘。
「それにしても…珍しいね、若ちゃんひとりなんて…。」
若、
「うん。まっ…、たま~にはね~~。」
少しさみしそうな顔をしながら若。
そんな若を見ながら和弘、
「…???」
そして、しばらくして洋造、
「おぅ~。待たせた、ワコウ~。悪かったな…。おや、若ちゃん。…ん…???ひとりかい…???」
「こんにちは。洋造さん。」
「うん。…???…どうしたぃ。浮かない顔して…???」
和弘、
「洋造さん…早瀬さん…???」
「あぁ~。かなり…疲れては…いたけどな…。何とか…。うん。」
「そうですか~。とにかく…良かったです。はい。」
「おぅ。はは。これも…お前と夕美子のお蔭だ。ありがとよ。」
その洋造の話を聞いて若、
「……。」




