手を握って…。 vol.139 「えぇ…。もう既に…矢萩さんを通して…。」
そんな煌と洋造に…。
そして瀬戸と美希を見ながら和弘、
「えぇ…。もう既に…矢萩さんを通して…。」
煌、
「えっ…。矢萩さん…???」
洋造、
「おぅ…。そうか…。」
「矢萩さん…???…おじちゃん…???」
「あぁ、ほれ。矢萩さん…。彼の叔父さんが警視庁の捜査二課の刑事らしい。…それで事件当初から少し、詳しい話を夕美子とワコウが、聴き付けたんだと…。」
「へぇ~~。」
だが煌、
「でもワコウちゃん。ジョギングの途中で、良くそんな状況に…???」
実は、和弘が話した内容には、残念ながら夕美子は登場していない。
その煌の声に洋造、
「ん~~???…ワコウ~???」
和弘、いきなり口を噤んで、
「あっ。…いや…。その…。」
頭を掻きながら…。
煌、
「ん~~???…な~んか…、赤くなってる…けど…。」
洋造、
「ん~~???どした、ワコウ~~???」
「いや…。いやいやいや…。別に…。はい…。」
煌、
「ん~~。」
口を真一文字に…。そして…、斜めに向いた顔で上目遣いをしながら煌、
「ぷっ。」
そして…、
「は~い、はいはい。」
洋造、
「ん~~???」
煌、
「つまりは…。…そういう…事か~。」
もじもじしている和弘。
「どういう事でぇ、煌~~。」
和弘を見ながら煌、
「夕美子と…一緒だったんでしょ。あの子も時々、ジョギングしてるから。」
洋造、
「はぁ~???そうなのか~???」
「夜は仕事で遅くなるから…、多分…早朝ね…。」
少し額に汗を掻きながらの和弘。
「な~~に。そうだったんかぃ~~。いや…、こりゃこりゃ。」
「…で、夕美子が矢萩さんにその事を連絡したと…。」
和弘、観念したように、首をコクリと…。
その時、いきなり和弘の左太腿に右手を付けて瀬戸。
そして今度は座ったままで和弘の体に向き合い、頭を下げて、
「高梨さん…。ありがとう。…ありがとう。」
いきなり和弘、そんな頭を下げている瀬戸を見て、
「あっ。いや…。そんな…おばあちゃん、頭…上げて下さい。」
瀬戸の肩をさすりながら…。
泣きながらの瀬戸、
「ありがと。ありがと。」
そんな瀬戸の隣で煌、薄らと涙を溜めて、そして零して、
「ワコウちゃん。…うん。ありがと。そして…、夕美子も…、ありがと…うん。」
既に出社して席に着いている健之を見て夕美子、
「おはようございます。」
そんな夕美子を見て健之、
「おはようございます。」
お互いに頷く。
そして昼過ぎに、横浜にある、とあるアパートのドアを開けようとした女性の元に、
2人の男性、そしてひとりの女性…。
「杉浦…秋穂さん…ですね。」
3人共に、警察手帳を女性の目の前で広げて、
「嵯峨肇殺害容疑の重要参考人として、署まで…ご同行お願いします。」




