手を握って…。 vol.126 「両手に…い・ろ・お・と・こ~~。」
夕美子から與門早瀬の事について電話で聞いて由香里、
「ふんふん、な~るほどね~。とんでもない事に、巻き込まれたね~與門さん。…んなもん、誰かに嵌められたに決まってる。世の中には…いるんだよ。そう言う輩が…。とにかく、私たちだって、與門編集長の事、心配してんだから…。」
夕美子、
「うん。ありがと。」
「さ…て…と。…でも、んま、それこそ、矢萩さんと一緒にお店でもオフィスでもいらっしゃい。歓迎するよ~~ニッ。」
オフィスの電話で由香里。
「はっ…???」
スマホを耳に夕美子。
「いいねぇ~。片や料理人のワコウちゃん。片や編集長並みのイケメン矢萩健之~~。ニッシッシッシ。両手に…い・ろ・お・と・こ~~。」
夕美子、
「はぁ~~~あ~~~!!!!」
その声に編集者一同、夕美子に顔を向けて、
「!!!」
編集デスクで健之、夕美子に振り向いて、
「???」
その目線に夕美子、
「…あっ。いや…。んんんん…。な…、なに言ってんのよ、あんた…由香里~~。」
電話の向こうで、
「かかかかか。…んじゃねぇ。」
いきなりプツリと切れる。
「あっ。あ。…切れちゃった。」
スマホを見ながら、
「な~に言ってるかな~。あんのヤツ~~。…んもう~。」
健之、目をパチクリとさせながら夕美子を見る。
そんな健之に、何かしら照れながら、変顔の夕美子。
「あ…、ははは…。」
テーブルの下。右足のパンプスの先で相手の左脛をコツンと…。
「…ん…???」
窓の外を見ていた倫洋、
「どうした…???」
「どうした…は…、こっちの台詞。さっきから窓の外ばっかり…。」
テーブルの上で腕組みをして前のめりになっている友紀。
「與門編集長の…事…???」
その言葉が出てきて、椅子の背もたれに、
「ふん。」
そして、目をキョロキョロさせながら、コーヒーを一口。
「うん。與門さん…、姉ちゃんの姉ちゃん的、存在だから…さ…。俺にとっても。」
ぶすっとした顔の倫洋。
「こっち来て、結構可愛がられてるからな~。な~んとも…釈然と来ないんだ。」
ストローでジュースを飲みながら友紀、
「インサイダー取引…か…。まだ…犯人…捕まってない…みたいだ…けど。」
「ぜってぃ、與門さんの旦那さん…、やってねぇ~って…。」
いきなりムキになる倫洋。
「誰かに仕組まれたに違いねぇよ。」
「うん。分かってるよ。」
桜華、社長室、藤間。夕方の窓の外を見ながら、左耳にスマホ、
「……。うん。元気なら良いんだけど…。そっか~。まだ早瀬さん…。何も…。」
憔悴した顔で與門、
「えぇ…。」
休憩ブースで亜季と心。夕美子から話を聞いて…。
「えっ。何…???じゃあ…。」




