手を握って…。 vol.125 「私に出来る事があれば、何なりと…。」
その声に振り返る編集者たち。
「新條デスクの言う通り。昨日の今日だから…、あれなんだが…。取り調べで與門さん。ずっと、無実を主張してるらしい。疲れてはいるみたいだが、ちゃんと食事も摂っていると言う事だ。」
一番後ろに並んでいる康太と信玄の肩に両手を掛けながら健之。
亜季、真奈香、心、
「矢萩デスク。」
振り向きながら。
夕美子、健之にお辞儀をして、
「昨日はありがとうございました。」
亜季、真奈香、心、それぞれに…。
「へっ…???…何…???」
「矢萩デスクが…。…どういう事…???」
「編集長の旦那様の事…???」
信玄、
「何で…???」
康太、首を傾げて。
健之、
「新條デスク…。さっき、社長室に呼ばれてね。ブリリアントをフォローしてくれと、直々のお達しが出た。私に出来る事があれば、何なりと…。」
その話しを聞いて夕美子。
「えっ???社長がそんな事を…???」
「既にウチの蜷川にはOKもらっているようですから。」
「凄っ。矢萩デスク。手伝ってくれるんだぁ~。わっほ。」
心。
「うふ。や~り~。ニッ。」
真奈香。
腕を組んで、夕美子の左に、擦り寄る亜季。
ニタニタとしながら、夕美子の左肘を自分の右肘でグリグリと…。
夕美子、
「な~によ~。」
亜季、
「くくく…。」
そして夕美子、健之の顔を見て、困ったような笑顔で…。
「…で、社長も取締役もそう…。他の編集長連も…。ましてや…ウチの蜷川も同じ意見。與門早瀬氏は無実。何かの間違いだろうと…。けれども、世論は様々だろう。それに対して我々桜華は、読者に対しても、お客様に対しても今まで通り、いや…それ以上に応えて行くと。」
夕美子、編集者、
「……。」
「大丈夫だ。與門編集長、元気に戻ってくる。いや…、戻ってくるような、仕事…しよう。」
その健之の声に、真奈香、心、少し目を潤ませて、口を一文字にして…。
いきなり両手を叩いて夕美子、
「よし。やるよ。」
それぞれの席に着く。
健之、一枚のメモを夕美子に渡してニッコリと。
「蜷川…今、出張なんだ。」
夕美子、
「ふん。…ん…???」
そして…、
「…夕美子、頑張れ。早瀬さんは必ず戻ってくる。煌も、これくらいで負ける女じゃない。私たちのところに絶対戻ってくる。それまで矢萩デスク、大いに使って。そして…可愛がって頂戴。…って…。はぁ~~あ…???」
健之、
「…そういう事で…。」
夕美子、
「ふぅ~~。蜷川編集長…。参った~~。」
「…で…、例のセントラル・ムード…???」
「うん。順調。予定通りの、発行になる。」
夕美子のスマホに着電。
「おっ、噂をすれば…。」
電話の相手は…、由香里である。
「夕美子――――――っ!!!一体どうなってんの~~與門編集長~~???」
「耳…痛った~~。あんたもおじちゃん並みの声だね~~。」
健之を見ながら、下唇を出して。
健之、
「はは。」




