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手を握って…。 vol.121 「正樹おじ、今…ちょっと…時間ある…???」

「正樹おじ、今…ちょっと…時間ある…???」

慌てながら健之。


スマホの向こう、正樹の声、

「…ん…???どうした…???」


健之、スマホを左の耳に替えて、右手で押さえるように、

「與門編集長の旦那さんの名前は…???」

夕美子を見て…。


夕美子、緊張した顔をして、

「早瀬。…與門、早瀬。…東京住永証券(とうきょうすみながしょうけん)勤務。」


その名前を聞いて、スマホに健之、

「正樹おじ。與門早瀬さん。東京住永証券勤務。インサイダー取引規制違反で…、まさか…逮捕…???」


その声を聞いて正樹、

「…健之…。おまえ…まさか…???何か…関わって…???」


健之、

「あ~~いや。全く関わっていない。ただ…、俺が勤務している雑誌社の編集長の旦那さん…なんだ。」


正樹、

「何ぃ~~???」




事件の全容は捜査上、教えてもらえなかったが、

現在マスコミまで発表されている内容が、文字通り、

警視庁の捜査二課が動き出したインサイダー取引規制違反で、

ある書類上から與門早瀬の名前が見つかったのだった。


けれども、いきなりどうして、そういう事件に繋がったかと言えば、

前夜の22時に、都内のある住宅でひとりの男性が死亡しているのが、

家族の発見で警察に通報されたのだった。

その男性が東京住永証券グローバル・マーケッツ本部長の嵯峨肇(さがはじめ)である。


死亡した嵯峨の自室にあったパソコンのデータと、

複数の資料の中から発見されたのがインサイダー取引の重要書類。

そして、その書類の中に與門早瀬、その他2名の名前が載ってあったのである。

但し、現在その他2名は海外出張中である。


おそらくマスコミに発表されるのは時間の問題かと思われるが、

嵯峨の死因は青酸中毒。つまりは毒死である。

発見当時の口臭がアーモンド臭だったと言う。


家族にしてみれば、正に青天の霹靂だったと言う。

普段通りに家族と夕食を摂り、その後は普段通りに書斎で読書を楽しんでいたと言う。

ただ、前日に本人の誕生日でもあり、家族同様に知り合いやその他、

勤務先からも様々誕生日プレゼントをもらい喜んでいたと言う。


つまりは、一般的に、普通に生活している人間が、

誕生日の翌日に自殺などするか…。と言うのが警察の見解である。


しかも、被害者本人の口から有り得るはずのないアーモンド臭。

毒物の代名詞的存在の青酸カリである。


警視庁では、捜査一課は他殺の線。

そして二課はインサイダー取引規制違反での捜査を開始したのだった。





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