手を握って…。 vol.119 テレビ画面に映った画像の男性…。
夕美子の隣でテレビ画面を見つめている和弘、
「新…條…さん…。」
夕美子、
「ワコウちゃん!!!」
和弘、
「こ…、これ…。與門…さんの…。…旦那…さん…。」
夕美子、いきなり、テレビ画面に、
「うそでしょ!!!…これって…。うそ…。」
テレビ画面に映った画像の男性、確かに、與門煌の夫である與門早瀬の顔。
夕美子、
「うそ。うそうそうそうそ。早瀬さん。そんな…。」
テレビのニュースの画面を見ながら、
「…インサイダー取引規制違反の疑いで…、連行…って…。」
慌ててスマホで…。
レジの女性、
「あ…の…。お客…様…???」
レジで少し慌てた動きをしているのを遠くの席で見ていた健之、
「???」
そして、
「姉貴…、ちょっと…ごめん…。」
瑠唯子、
「ふ~ん…。どしたの…???」
「いや…。ちょっと…。」
首を傾げながらレジへ…。
夕美子、スマホを耳に、
「與門、與門、與門、與門、出て、出て。お願い…出て。」
和弘、
「新條…さん…。」
夕美子を見ながら、バッグから財布を取り出しレジに、
「…お願い…します。」
夕美子、
「出ない、出ない、出ない。與門…。」
レジの女性、
「お待たせしました…、お釣りに…。」
「新條さん、高梨君、どうした…???」
健之。
「駄目だ、與門、電話に出ない。」
和弘の顔を見て、健之の顔を見て夕美子。
健之、
「新條さん…???」
その時着電。
「あっ、おじちゃん。」
応答ボタンを押して、その途端、
「夕美子―――――――っ。どうなってる―――――――っ!!!今、テレビで!!!」
スマホから洋造の声。
夕美子、いきなり顔を顰めて、
「耳、痛った。」
和弘、健之にテレビの方に目を向けて…。
健之、
「……???」
和弘、
「今…、テレビのニュースで、與門さんの旦那さん…。何だか…インサイ…取引違反…???」
健之、
「インサイダー取引規制違反…???」
和弘、
「あぁ、そうそう。それ…。…で、與門さんの旦那さん…連行って…???」
健之、
「えっ!!!」
目をあちらこちらに健之。
「取り敢えず、ここじゃまずい。他の客に…。」
遠くでそんな光景を見ている瑠唯子、
「???」
店の玄関を出る3人。
レジの女性…、
「あの…、お釣り…。」
夕美子、洋造と話しながら、
「何が何だか、私もサッパリ。…で、與門も電話…出ないし。」
洋造、
「俺も今、煌に電話したんだが、全く通じねえ。」
夕美子、
「一体…、どうなってる。早瀬さん。インサイダー取引規制違反なんて…。」
健之、
「もしかして…、與門編集長の旦那さんって…、金融関係…???」
黙っている電話の向こう。そんな中で夕美子、健之に首を縦に、
「えぇ。」
「どしたの…健之…???」
瑠唯子。




