手を握って…。 vol.116 「お兄さん、彼女かい。頑張りな。」
浅草に着いて、
「運転手さん、ごめんね。また、待たせちゃうけど…。」
夕美子。
「いえいえ。どうぞ、行ってらっしゃませ。」
運転手。
和弘、
「ありがとうございます。」
運転手、
「お兄さん、彼女かい。頑張りな。」
そんな運転手の声に和弘、
「あっ、いえ…、いえいえ。とんでもない。」
右手をひらひらとさせながら。
夕美子、和弘の後ろから降りながら、
「年し~たの男の子~。だよ~。」
にっこりと笑いながら。
運転手、
「おほほほほ~。はは。行ってらっしゃませ。」
ドアをしめて。
運転手、
「どぅ見たって、恋人同士だよな~。兄ちゃん、上手くやりやがったな~~。」
サンバイザーを下ろして差込んである写真を外して見ながら、
「へへ。頑張んなきゃ~なぁ~。」
「へぇ~~。これが浅草の雷門。さすがにおっきいですね~~。」
和弘。
「でっしょう~~。さ~て…行きましょうか。」
夕美子。
和弘、
「はい。」
病室のドアを開けて健之、
「あれ…???…おやおや。珍しい光景。」
「おや、おはよう健之~。」
「たまには…、見舞い、行って来いって姉貴に言われてね~。」
「はは。それじゃ、あんたもそんな事言えないじゃないか~。珍しい光景なんて…。」
ベッドの傍で椅子に座って笙子を見守っている津嘉山正樹
そして、瑠唯子の婚約者の国谷五大。
「よっ、健之~。」
津嘉山正樹は笙子の義理の弟、警視庁捜査二課の刑事である。
「こんにちは。お邪魔してます。」
五大。
「ふたりとも…、忙しいところ、見舞に来てくれたのよ~。正樹なんて忙しいでしょ。警察の仕事~。五大さんだって…。ねぇ~~。」
笙子。
「実は…、淑子から言われましてね。忙しくなる前に、姉さんのお見舞い、お願いね。ってね~。」
ここで言う淑子とは、笙子の妹の津嘉山淑子である。
「へぇ~、正樹おじ、何か新しい事件、抱えてんだ。」
「えぇ。何やら忙しいらしいです。」
五大。
「とは言え…、津嘉山刑事、話してはくれませんけど…。」
「ふんふん、捜査情報はね~。極秘でしょうから~。ねっ、正樹おじ。」
健之。
「まっ、そういう訳だ。悪くは思わんでくれ。ところで五大君、兄さんの方…???」
そんな正樹の顔を見て笙子、そのまま顔を五大に。
ふたりの顔、そしてベッドの端でまだ立ちっぱなしの健之を見て五大、
「ふふ。さすがに矢萩常務、元気元気~。バリバリですよ~。」
その声を聞いて笙子、にっこりと…。




