手を握って…。 vol.115 「ワコウちゃんには優しいよね~~。」
「いらっしゃ~い。」
既に店の前で待っていた由香里。
「ワコウちゃん、おはよ。この前はどうもね~~。夕~美子、おぅ。」
夕美子に敬礼をして由香里。
「くく。何よそれ~。ワコウちゃんには優しいよね~~。」
夕美子。タクシーのドアを開けたままで、
「運転手さん、ちょっと待ってくれます~。」
運転手、
「どうぞ~。お待ちしてますよ~。」
「悠宇も中にいるの。」
由香里。
和弘、
「ありがとうございます。わぁ~~。素敵なお店ですね~。しかも…お洒落だ~~。」
夕美子、
「ふふ、でしょ。」
店内に入って悠宇と挨拶、そして握手。
「はは。凄い。雑誌で見るのとは大違いだ~。素敵ですね~~。」
和弘。
「お褒めに与り、恐縮です~。ふふ。」
由香里。
「これからもっと成長するお店だもん。ブリリアントも…全力で応援するよ、ここは。」
夕美子。
和弘、
「ですよね~~。あっ、ありがとうございます。」
テーブルに紅茶を置きながら悠宇。
「みなさんと知り合えて、光栄です。」
「悠宇、ありがと。」
そう言いながら悠宇の右肩に両手を掛けて由香里。
それを見て夕美子、
「ほんとに…凄い素敵な夫婦って感じよね~~。」
由香里、
「ふん。ありがと。…だから~、あんたも頑張んなさい。」
そんな由香里に、
「ふっ。…ったくあんたはもぅ~。ワコウちゃん、困っちゃうよ~。こんなおばさんに~。」
紅茶を飲みながら夕美子。
「な~に言ってるかな~。私と悠宇と…同じくらいじゃない~、あんたとワコウちゃんだって~。」
「いやいやいやいや。とんでもないです。僕なんて~。」
思いっ切り目の前で両手をひらひらとさせる和弘。
「僕とじゃ、月とすっぽん。もっと素敵な男性…いますよ~新條さんには~。」
そんな和弘の声に由香里、
「たと…えば~~???」
にっこりとしながら和弘と夕美子、両方を見ながら由香里。
「あっ…いや…。例えばって…、言われると…、困…るんですけど…。」
「だか~ら~。苛めないって~由香里~。」
「ふん。」
由香里、
「まっね~~。もっと…、素敵な男性~。ふふ…。」
「何よ、その含み笑い~~。」
夕美子。
「ん~~。ふふ…。結婚するとね…。誰かさんの女性の心理にも…、アンテナが…ピ~ンと…張っちゃうんだよね~~。」
そんな由香里の話に夕美子、
「はぁ~~あ~???」
「くくく…。はい。東京案内、行ってらっしゃい。タクシー待ってるよ。」
椅子から立ち上がって由香里。
夕美子、
「あぁ、うん。」
和弘、
「ごちそうさまでした。じゃ、行ってきま~す。」
由香里、
「うん。」
にこやかに。




