手を握って…。 vol.114 「弟が先に結婚出来るか!!!」
そんな夕美子の話に和弘、
「えっ、えっ…???なんで…???」
「だって~~。倫には…彼女、しっかりといるから…。ふん、ふん。」
その夕美子の声に和弘、
「えっ…???…へぇ~~。そうなんだ~~。」
「しょっちゅう~、彼女の部屋行ったり、ウチに来てたり。そんなんだったら、いっそのこと、結婚しちゃえ。…って、言ってるんだけど…。」
エレベーターで下りながら夕美子。
「…で、弟さんは、なんて…???」
「憎ったらしくも、こうだよ~~。自分の姉貴が未だ彼氏のひとりもいない。結婚してもないのに、弟が先に結婚出来るか!!!…ですってぇ~~。」
「あははは…。な~~るほどね~~。」
「ま~~ったく。口だけは、達者なんだから~~。」
そして、タクシーに乗り込み、
「運転手さん、麻布、そして六本木、国会議事堂…。とりあえず、浅草まで行って、スカイツリーに、お願い。」
夕美子。
「なんだか…、観光旅行みたいな気分ですね~~。」
和弘。
「あっ。麻布だ~~。」
案内標識の文字を見て。
「うん、この近くに、セントラル・ムード、あるのよ~~。」
「へぇ~~。茂木さんたちのお店~~。」
「うん。あっ、そうだ。良い機会だから、お店、覗いて見る…???」
そして、バッグからスマホを取り出し、指でポン。3回目のコールで相手が出る。
「はい、夕美子~~。お疲れ~~。どうしたの~~。」
電話の相手は由香里である。
「あっ、ハイ、お疲れ~~。由香里、今どこ~~???」
「え~~。私~~は、今、ショップにいるよ~~。どして…???」
「私…、今、タクシーに乗ってるんだけど~~。」
そのまま、スマホを和弘の耳に。
和弘、
「こんにちは。高梨です。この間は、色々と、ありがとうございました。」
その声に、いきなり由香里、
「わっ。ワコウちゃん…???」
「はい。僕です。」
「…と、言う事は~~。」
和弘、夕美子の顔に頷いて…。スマホを自分の左耳に夕美子、
「今、お店に、5分の位置。そっち向かってる~。」
由香里、
「わお。」
そして、クスッと笑って、
「な~るほどね~~。ワコウちゃんの東京案内か~。」
「…って、それ、大々的に進めたの…あんたでしょ。」
そんな夕美子の声に由香里、
「かかかか。まっ、そういう事でも…ございますね~。いらっしゃ~い。歓迎しちゃう。」
「おぅ。歓迎されちゃいます~~。」
和弘の顔を見て。
和弘、笑顔で…。
「運転手さ~ん。そこから左。麻布十番、行ってくれる~~。」




