手を握って…。 vol.110 隣の夕美子を見て與門。「ひとりいた。」
そのまま隣の夕美子を見て與門。
「ひとりいた。」
與門から顔をジロリと見つめられて夕美子、
「な…、なに、その目…、與門~~。あんた…???」
「かかかか。ワコウちゃんの東京のガイド役~~。夕美子、あんた、ただいま彼氏いない歴、更新中じゃな~い。」
「はぁ~~~~あ~~~!!!」
思いっ切り口を開けて夕美子。
洋造、思わず可笑しくなって、
「けけけけ。」
「あっ。そっか~~~。ははは、新條さん、洋造さんから…箱入り娘って…。」
口を真一文字に、そして笑顔で健之。
コクリと頷く洋造。
そんな健之に夕美子、
「ちょっ、ちょっと…矢萩さん…。あなたまで…。」
「いやいやいやいや。でも、やっぱり…。パートナーのいるレディーから…東京案内なんて…ねぇ~。案内される方が…、困っちゃうと…言うか…。」
淡々と健之。
「とは…言え、まさか…、こんなカッコいい男性が…、ひとりや…、同じ男性から案内されても…、僕自身も…、な…んか…、もったいない…と言うか…。」
洋造、
「くくくく。」
体を小刻みに揺らしながら…。
「ねぇ~、與門編集長~。」
そんな健之に與門、
「ぷっ。…矢萩さん…。アナタ様も…。良くぞ仰いました~~。もしかして…、ワコウちゃん同様に、パートナーたる…レディ~~???…ん~~???くくく。」
意地悪な目をして與門。
「あっ、いやいや。…そんなつもりで…。」
両手を前に手の平を振りながら、困ったような顔をして健之。
「な~に、話してるかな~~みんなで~~。シシシ。」
ドアを開けてバルコニーに顔を出したのが由香里。
そんな由香里の声に背中でビクンとして夕美子、
「わっ、びっくりした~~。」
後ろからルイと悠宇。
悠宇はワインとビールが入ったグラスが並んでいるトレイを持ちながら。
「ふふ。みなさん…お揃いで…。ちょっとした…ブレイクかしら~~。洋造さん、はい。」
洋造にビールを渡す由香里。
洋造、
「あい。これは…どうも…。」
それぞれにグラスを悠宇の持っているトレイから渡しながら。
「さすがに由香里、旦那様も素敵ねぇ~。」
夕美子。
「お褒めに与り、恐縮です。はい。ふふ。まっ、こう見えて…姉さん女房ですけど…。ねっ、悠宇。」
「しっかりと…手の平に乗っかっちゃってま~す。」
にっこりと悠宇。
「あらあら。ぷっ。しっかりと…お惚気に聞こえますけど…。旦那さま~。」
與門。
「とにっかく、このふたりは…凄い。結婚して3年になるけど、未だにラブラブだもん。ふ~~ん。」
頭を揺らしながらルイ。
「私も…見習わなくっちゃ。」
舌をペロリと出して…。




