手を握って…。 vol.109 「僕…東京案内…しましょうか…。」信玄。
「おやおや…、ここにいましたか…。」
バルコニーで寛いでいる洋造と和弘、そして信玄に健之。
「いや~~。すっかりご馳走になっちまった。」
洋造。
「ですね~~。」
手摺に両肘を付いて和弘。
「気持ち良いし、綺麗なガーデンっすね~~。」
「ワコウさん。東京…もう…慣れました~???」
信玄。
「ん~~。慣れた…って言うか~。まっ、ボチボチって感じかな~~。」
和弘。
「…じゃ~、僕…東京案内…しましょうか…。」
そんな信玄に、
「あっ、いいっすね~~。」
「かかか。やめとけ、やめとけ。」
笑いながら洋造。
信玄、
「えっ…???どして…おじさん…???」
「生活リズム、違うんだ、出来る訳ねぇ~~。」
そんな洋造の声に、信玄、
「あっ。そっか…。」
恥ずかしげに笑いながら。
「そうですよね~。僕たちが仕事オフの時、働いている訳ですからね~。」
健之。
「まぁ~。そういうこった。」
ドアを開けて、
「あ~~。ここにいた~~。」
夕美子。
「もう~。どこにもいないからビックリしちゃった~。」
與門。
「けけけけ。しっかりと、ご馳走になっちまってな。ワコウと風に当たりにな~。」
洋造。
與門、
「ふふ…。」
「ん~~???どうしたぃ、煌~。」
「ん~~。何だか、いい感じ~。このメンバー見てると…。」
健之、
「ふ~ん…???」
「な~んだか、かなり馴染んでいる感じ。」
バルコニーの中に歩きながら與門。
「まっ。矢萩さんも…、ウチの常連さんみたいになってくれたもんでね~~。かかかか。頼もしい常連さんだ~~。」
椅子に座りながら洋造。
「與門さん、新條さん、綺麗なガーデンですねぇ~~。」
和弘。
「ん~~???ふふ…。ワコウちゃん、もしかして…。東京来て、こういうところ、初めてかしら…???」
バルコニーからホテルの中庭を眺めている和弘に與門。
「えぇ…。実際、こういう…、ホテル…なんて、まず僕には無縁ですから。」
「じゃ~~、これからは、高梨君、東京、いろんなところに行けるんじゃないかなぁ~。」
和弘に、少し離れたバルコニーの柵に凭れながら健之。
「でも…、ひとりでじゃ~~。ちょっとね~~。」
にやけた笑いの信玄。
「な~に言ってんの~~。ワコウちゃんのためなら、ウチの編集者、誰でもOKでしょう~~。」
口を尖らせて與門。
そんな與門の声に、思わず與門に振り向いて拍手をする健之。
けれども…。
「…と、言いたいの…だ…、けれどもね~~。」
與門、口をへの字に腕組した右手人差し指を唇に付けながら、…と…、
「あっ。」




