手を握って…。 vol.107 「もったいな~~い。」
「じゃあ…、頼もしい殿方…って、訳ね~。」
瑞樹。
「でも…、仕事をしている時の矢萩さんって、全くそんな印象…持たせないわよね…。…どして…???」
首を傾げるように瑞樹。
その瑞樹に同じように反応して変顔をする美崎と五月に奈賀。
そしてまた、「クスッ」と笑う杏美。
「な~んで杏実さん、そこで笑うかな~。」
五月。
杏美、
「いやいや。いやいやいや。…はい、気にしない、気にしない。」
奈賀、
「いや…。気にするでしょ、普通~~。」
「まぁ、まぁ、まぁ…。はい。」
「もしかして…、なにやら、秘め事…、あったりして…、杏美さん…???」
ニタリと笑うように杏美にすり寄る美崎。
笑いながら杏美、
「ば~かね~。あ~るわけないじゃな~い。」
「だよね~~。くく。ただいま旦那様。中国に出張中~~。」
こちらもまたニタリと五月。
「こ~ら、五月~~。」
杏美、五月の頭をコツンと。
五月、
「へへ。」
その時瑞樹、
「あっ。そうだ。」
「えっ、うそ!!!夕美子、まだ…あんた…、シングルなの…???」
いきなり夕美子を見つめながら目をパチクリさせる由香里。
「與門…編集長~???」
そんな由香里に変顔をする與門、
「えっ、えぇ~。まぁ…。」
ルイも悠宇も、「シンジラレナイ。」とでも言った顔で…。
唇を口の中に押し込んでいるような夕美子。
由香里、小さな声でハッキリと、
「もったいな~~い。」
そしていきなり洋造たちの方向に顔を向けて。
「あんた、なんで…アタックしないかな~~。えぇ~~???」
その声に夕美子、
「えっ、ええええ。え~~っ!!!何…言い出すの…由香里、あんた。」
與門、
「ぷっ。」
「そして與門もそこで、吹き出すし…。」
「ねね、あの…新しい編集デスクの人…、シングルなんじゃない…???」
そのストレートな由香里の声に與門、今度は、
「お~~。」
夕美子、
「はぁ~~あ…???」
由香里、
「いや…。な~にが…はぁ~~あ。なのよ~~。このかっこいい女が~~。」
與門、可笑しくて堪らない顔をして…。
「いや…、私は別に…、そんな…かっこいい…なん…。」
「バッカねぇ~~。あんたの仕事振り見ていたら、すぐに分かるでしょう。あんな仕事出来るの、そんなにいないわよ。」
少し顔を赤らませて笑っている與門。「実にその通り。」とでも言うように。
「ねね、あんた…もう~三十路だよ~~。」
その由香里の声に、口をへの字にする夕美子。
「…んな事…、言ったって……。」




