手を握って…。 vol.106 「矢萩さんは…既にお知り合いのようね~。」
背中を押されて、
「あ~~、はい。」
洋造の方に振り向いて、目の前の女性たちに、照れながらお辞儀をする和弘。
そんな和弘に笑顔で返す女性たち。
洋造、
「ソフィアの方々だ。」
和弘の隣にいる健之もにっこりと…。
クスリと笑って瑞樹、
「その分だと、矢萩さんは…既にお知り合いのようね~。…初めまして、ソフィアの蜷川瑞樹と申します。小坂さんには大変お世話なっていて…。」
そして自分の左隣から順に編集者を紹介する瑞樹。
その度に一言ずつ添える美崎に五月、そして杏美に奈賀。
「初めまして、ベルモンドで料理見習いさせてもらっている、高梨と言います。今後とも、お見知りおきを…。」
和弘。
「さっき、小坂さん…、ワコウって言ってましたけど…。」
美崎。
「けけけけ。美崎ちゃ~ん。こいつのニックネームみてぃなもんで…。よしなに…。」
ぺこりと美崎に頷いて洋造。
「へぇ~~。かっわいい~~。」
五月。
何やら意味ありげに健之と和弘の顔を交互に見ている奈賀。
瑞樹、
「…なにか…、スポーツでも…やっているのかしら…。高梨さん…。体…がっちりしている…みたい…だけど…。」
そして少しおいて…、
「矢萩さんも…。」
その瞬間にまた杏美が、
「ぷっ。」
和弘、そして健之、同時に、
「えっ…???」
「あっ…。」
「けけけけ。蜷川ちゃん、さすがに…洞察力…あるねぇ~~。」
洋造。
「こいつ、ワコウは…、ボクシング、自己流でやってましてね~。」
「おやおや。」
瑞樹。
「矢萩…さんは~~。」
その声に健之、
「あっ。洋造さん…。」
「…ん…???」
「それは…、私から…。」
「けけけ…。だ~な~。」
「父の影響で、空手を…。小さい時に…。」
その声に驚く美崎に五月、そして奈賀。
「へぇ~~。そうだったんだぁ~~。」
少しその反応が大きかった。
近くで話をしているヒサコに由香里、そしてルイに與門や夕美子。
「おやおや…、なにやら盛り上がってます事。」
與門。
「ねね、ママ、あの人、料理…凄い上手~~。」
ルイが母のヒサコに。
「うんうん。ほんと。私もそれは同感。ヒサコ、今度連れてったげる。悠宇もね。ミーガンも一緒に。」
由香里。
「へぇ~~。」
和弘の方を見てにっこりとヒサコ。腕組みしながらこちらもニッコリと夕美子。
そしてその顔を見逃さない與門、
「ふふ…。」




