好き?
そんな疑問が残る中、お風呂でゆっくり考えようかなと思い、優香さんに声をかけると
「私からも一つ質問いいかな?」
と呼び止められた。普段ならわざわざ質問していい?とは聞いてこないので、優香さんがこういう言い方をするのは珍しいなと思ったが
「いいですよ」
と答えた。すると
「奏ちゃんの相談を受けたのリンちゃんは嫌だった?」
と変なことを聞いてきた。優香さんは仕事をしていただけだ。私が嫌だと思う理由はない。なので
「えっと、別に嫌ではなかったですけど。なんでですか?」
と聞いてみた。すると
「そうなんだ。いや、私と奏ちゃんが話してるのをむすーとした顔で見てたから、もしかして相談受けたの嫌だったのかなと思って」
と言われた。その言葉に私はとても驚いてしまった。私がそんな顔しているとは思わなかった。優香さんがそう思ったということはもしかすると奏さんも同じことを思ったかもしれない。だから奏さんは最後にあんなことを言ってきたのかと今更ながら思ったのだが、そう考えると奏さんに対してものすごく申し訳ないことをしてしまったなと思った。だが私がなぜそんな顔をしてしまっていたのかわからない。なので、
「多分ですけど優香さんの対応が少し違うのが気になってそれのことについて考えてたからじゃないですかね」
とかろうじて思い当たったことを言ってみると、優香さんはそっかぁと言い
「本当にそれだけ?」
と聞いてきた。
「ちょっと考えてみるのでちょっと待ってもらってもいいですか?」
と聞いてみる。いいよと言ってくれたので、もう一度考えてみるがやっぱり思いつかない。考えるにあたり相談中のことを再び思い出す。優香さんと奏さんが楽しそうに話をしていたことを思い出すと、胸のあたりがモヤモヤしてきた。まただ。優香さんと奏さんが楽しく話しているときもモヤモヤしていたなと思い出す。その時ふと二人が話していたことを思い出した。その思い出した内容というのは、好きな人が他の人と話してるとモヤモヤするよねと言っていたことだ。モヤモヤする。今私の感じているものと同じなのだろうか。もしそうであるなら私は二人のどちらかが好きということになる。好きか。この場合の好きはきっとライクじゃなくラブの方だよねと考える。どうだろう。まず奏さんについて考えてみることにした。奏さんはたしかにいい子だったけど好きとは違う気がする。第一今日あったばかりで彼女のことを私は何も知らない。なら、優香さんが好きなのかな。私が一番辛かったときに逃げ場を提供し助けてくれた。それに優香さんはとても綺麗だ。それだけじゃない。優香さんの話は面白いし、いつも気を遣ってくれる。撫でられたり褒められたりすると嬉しい。たまに優香さんが抱きしめてくれるのも好き。一緒にいると心が落ち着く。あれ?もしかして私って優香さんのこと好きなのでは。そう思った途端、なんだか恥ずかしくなる。それにもしかして私がムスッとした顔をしてしまっていたのって考えてたからじゃなくて、無意識のうちに奏さんに対して嫉妬してたからなのかなのではと思う。だとしたら私はすごく心の狭い人なのではないかと思う。それと同時に自分が嫌になった。そして
「私お風呂入ってきますね」
と言って逃げるようにお風呂場に向かった。まだ話は終わっていない、ましてや優香さんの質問にだってちゃんと答えていない。失礼だし普段なら絶対にしないのだが、今だけは許してほしかった。私は今これ以上優香さんの前に居られなかった。
湯船に浸かりながらこれからどうすればいいんだろうと考え始めた。今のままじゃ優香さんと顔を合わせられない。そもそも私が優香さんのことを好きだということ自体合っているのかどうかわからない。だって今まで誰かを好きになったことがなかったのだからわかるはずない。優香さん怒ってるかな。ふとそんなことを考えてしまう。そして、これじゃ奏さんが言っていたことと同じではないかと思う。ほんとに私優香さんのこと好きなのかな。そんなことをずっと考えていると
「リンちゃん大丈夫?」
と脱衣所の外から優香さんが声をかけてきた。
時間を見てみると私がお風呂に入ってからもう一時間半近く経っていた。
「大丈夫です。今出ます」
これ以上入っていたらもっと心配をかけてしまうのでそう言ってお風呂から上がった。
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