恋愛相談
一緒に暮らすときに私は優香さんのお仕事の手伝いをすることになった。そして私に任された仕事は掃除と受付、あとお客様と優香さんへのお茶出し。基本的にはこれだけである。予約以外での来客は基本的にないので就業時間のほとんどが暇になってしまう。なので、お客さんがいない時間は好きにしていいよと優香さんに言われていた。何をしようかなと考えた結果本を読んことにした。そうして、本を読んでいると、扉が開き少女が入って来た。
「いらっしゃいませ」
できるだけ笑顔を心がけてそう声をかける。少女と言っても私と同じかちょっと年上かなといった感じの人である。制服を着ているので多分高校生だろう。
「あのここで相談に乗ってもらえると聞いたのですけど?」
と少し緊張した様子で彼女が私にそう聞いてきた。。
「そうですよ。そちらにおかけになって少々お待ち下さい」
と笑顔でそう言う。私が居るのは受付兼カウンセリングルームで、今優香さんは隣の仕事部屋で仕事をしている優香さんに事情を説明するためにドアをノックする。
「どうぞ~」
と気の抜けた声が聞こえる。部屋に入り
「お客様がお見えになりましたが、どうしますか?」
と、優香さんの判断を仰ぐ。普段なら予約が入っていなければすぐに相談に乗っている。今日はもう予約が入っていないのは知っているのだが、やらなきゃいけないことがあると言っていたので一応確認を取った。
「デスクワークも疲れたから少し話しようかな」
と、優香さんは伸びをしながらそう返事した。
「わかりました」
そう言って部屋から出る。
「もう少しで先生が来ますので」
と少女に伝えるとホッとした表情をした。
そんな彼女を横目に入り口に迎い扉に掛かっている看板を裏返した。看板は表側に相談可、裏側は相談中と書いてあり外側から見てわかるようになっている。
そういえば、まだお客様にお茶を出していなかった。
「飲み物はお茶と紅茶とコーヒーのどれがいいでしょうか?」
と聞くと
「選べるんですか?」
と不思議そうな顔をしている。
「はい。先生ができるだけリラックスをしてもらいたいということで飲み物はこの3つの中から選んでもらうことになってます」
そう伝えると
「そうなんですね。じゃあ紅茶でお願いします」
「かしこまりました」
そう言って用意を始める。
少しして優香さんが入って来た。
「お待たせしてすみませんでした」
と少女に向かってにこやかな笑みを浮かべる。
「大丈夫です。私こそ急に来てしまってすみません」
そう言って頭を下げる。礼儀正しいなと私は感じた。
「まず自己紹介してもいいですか?」
と優香さんが聞くと少女は頷いているので
「ありがとう。私は佐藤優香って言います。優香さんって読んでくれると嬉しいな。で、お茶を出してくれたのがリンちゃんです。」
そう言って私の方に視線を向ける。釣られて少女もこちらを見たので、よろしくお願いしますと一言いい頭を下げる。次に少女の番になった。
「島津奏と言います。今日はよろしくお願いします」
そう挨拶を返してくれる。
「奏ちゃんって呼んでもいいかな?」
と優香さんが聞くとぜひと嬉しそうにそう答えた。すごく人懐っこいなと傍から見て思った。
そう思っていると、あのと奏さんが優香さんに声をかけた。どうしたのと聞き返すと
「話す内容ってなんでもいいんですよね?」
と聞いた。
「大丈夫ですよ」
と笑顔で答えるとホッとした表情をした。わざわざ聞くということは話しづらい内容かな思った。席を外すべきか迷ったがどんな内容か聞いてからでもいいかなと思いその場に留まった。
「内容を聞いてもいいですか?」
と優香さんが聞くと
「実は恋愛相談なんですけど」
と少し恥ずかしそうに言った。
「恋愛相談ですか。高校生らしくていいですね。もちろん大丈夫ですよ」
と優香さんは嬉しそうに言っている。
相談内容というのは奏さんは同級生に好きな人がいるらしく、その人と仲良くなりとのことだった。
「なんでその人のことが好きだと思ったの?」
と優香さんが聞くと
「格好良くて優しいんですよ!それに話も面白いし、よく助けてくれるんです!」
と、奏さんは嬉しそうに話している。
「助けてくれる人っていいよね」
と優香さんも意見に賛同した
「その人は他の人も助けたりしてるの?」
と新たに質問をすると
「特にそういう話は聞かないですね」
と答えた彼女に対して優香さんは
「もしかしたら脈アリかもね」
と笑顔で言っている。二人は楽しそうに話をしている。私は二人の話している内容があまりよく理解できなかった。それに色々と疑問が浮かんでくる。目が合うだけでなぜ嬉しいのだろう。それに相手が今何をしているか考えてしまうというのもよくわからない。考えたってわかるはずがない。であればそれは時間の無駄ではないかと私は思ってしまう。私は異性に対してそのような感情は全くなかった。それは私が他人に対して興味を持たなかったせいかもしれない。そんなことを考えながら二人を見てみる。二人は今も楽しそうに話をしている。私は一緒の場所にいるのに一人だけ仲間はずれにされているような気がして少し寂しいなと感じた。
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