必要なこと
「優香さんってどうやってカウンセラーになるための勉強したんですか?」
と、休日なのでリビングでテレビを見ている優香さんに聞いてみた。
「私は基本的には叔父さんに教えてもらってたよ。あとは通信教育ってやつで勉強してたかな」
そう教えてくれる。
そうなんですねと言うと
「興味あるの?」
と聞かれたので
「少しだけ」
と答えると
「私が教えてあげようか?」
優香さんはなんだか嬉しそうな顔をしながらそう聞いてくる。私もどういう勉強をしているのか気になったので聞いたのだ。教えてくれると言うなら断る必要がない。なので
「優香さんの迷惑じゃなければ教えてもらってもいいですか?」
そう聞き返すと、勿論いいよと笑顔で答えてくれた。
「じゃあまずいちばん大事なことってなんだと思う?」
そう質問してきた。
わからないなりに考えてみる。まず、カウンセリングとは依頼者の問題や悩みに対して専門的な知識や技術を使って解決の手伝いをする仕事であるはずだ。なので、知識と技術は大事であるはず。しかし、解決の手伝いをするのであれば一緒に考えるとはいえ自分なりの解決策を出す必要があると思う。そうであるなら、瞬時に解決策を出す頭の回転の速さと閃き力も勿論重要になるはずだ。他にも、問題の本質を見抜くための洞察力、状況をわかりやすく把握するための分析力も大切だ。挙げれば切りがなくなるので一番最初に考えついたことを言ってみることにする。
「私は知識だと思います」
すると、そう言ってみると
「確かに知識も重要だけどそれが1番じゃないかな」
と言われてしまう。それならと、ざっと考えついたことを言ってみるもどれも違うらしい。いよいよ正解がわからないので、
「じゃあ1番大事なことってなんなんですか?」
と聞いてみると、
「傾聴力だよ」
と言われた。傾聴力。話を聞く力のことだった気がする。そんなことができて意味があるのだろうかと思っていると
「納得してないでしょ。顔に出てるよ」
とにまにましながら言われた。
納得できるはずがない。たかが聞く力があったところで問題の解決はできない。そう思っていると、優香さんはうーんと少し唸ったあとに
「まずリンちゃんは傾聴力ってどういうものだと思ってる?」
と聞いてきたので、
「聞く力ですよね」
と答えると随分アバウトな解釈をしてるねと苦笑いされてしまった。そして
「まず、傾聴力の説明からしようか」
と優香さんは説明をはじめた。
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