優香さんのこと
優香さんと一緒に暮らし始めてから数日が経った。私は学校をやめた。担任などと話をする機会がありすごく止めてきたがなんとか押し切った。一応生徒思い出はあったのだろう。ま、終わったことなのでどうでもいいか。
優香さんとの生活は細かいところまで気を使ってくれるので不便なことは一切なかった。そして、一緒に暮らしお仕事の手伝いをする中で優香さんのことが少しずつ色々と分かってきた。
まず仕事について。カウンセラーとしてかなり儲かっているらしい。値段的にはリーズナブルに設定しているらしいが相談してくる人の量が多いのだと思う。平均して一日三人の相談に乗っている。週に5日は仕事をしているので一週間に15人もの相手をしているのである。基本的に予約制でやっているが気まぐれで事務所まで足を運んでくれた人に対してもしっかりと対応している。すごいなと思う。本人に伝えると
「私はまだまだだよ。叔父さんの方がすごいよ」
と謙遜する。私からしたら十分すごいのに。 次に気づいたことは、お仕事をするときにメガネを掛けることである。普段はつけていないはずだ。
「なんでお仕事のときはメガネかけているんですか?」
そう聞いてみると
「メガネをかけてる方が賢く見えるでしょ?」
といたずらっぽく笑ってそう言っていた。いわゆる伊達メガネだ。たしかに知性的で落ち着いて見える。とても似合ってるなと思う。恥ずかしいから言わないけど。
生活でわかったこともあった。優香さんは以外にも料理ができない。
「今までご飯どうしてたんですか?」
「基本的に出来合いのもの食べてるよ」
そう言った優香さんに啞然としていると
「買ってきてそのまま食べるほうが楽だから。それに私健康だよ!」
楽なのはわかるだが、健康であるとよくわからない言い分を主張してくる。
「楽なのはたしかにそうですけど」
と同意の色を示すとだよねと嬉しそうな顔をしたので
「健康だからって出来合いのものばかり食べるのは栄養バランスも偏りますし良くないですよ」
そう言うと
「すみません」
としょげてしまった。かわいいなと思うが少し言い過ぎてしまったかなとも思う。
「ちょっと言い過ぎちゃいましたね」
そう笑うとむーと頬を膨らませている。
かわいい。じゃなくて、
「もし優香さんさえ良ければ私が作りましょうか?」
そう提案してみた。するととても驚いたのか口を開けて固まってしまった。
少しして
「いいの?」
と問い返してきたので
「もちろんですよ」
と答えるととても嬉しそうな顔になった。
「嫌いな食べ物とかアレルギーってありますか?」
料理を作る上で必要であるので聞いておく。
「うーん。特にないんだけど、あっ、ゴーヤは苦手かも」
「なんでですか?」
と聞くと、笑わないでねと前置きをしつつこう言った。
「苦いから」
「ブフッ」
思わず吹き出してしまった。
笑わないでって言ったのにと少し怒っているので、
「すみません」
と謝っておく。苦いから苦手とは可愛いなと思う。でもコーヒーは好んで飲んでいる。不思議だなと感じる。さてはと思い
「もしかしてピーマンも苦手ですか?」
そう聞くと
「昔は苦手だったけど今は食べられるよ」
と胸を張って言ってきた。その態度があまりにも可愛らしかったので笑ってしまった。
「馬鹿にしてるでしょ」
と抗議をしてくるので
「してないですよ」
とニコニコしながら答える。
絶対馬鹿にしてるとまだ呟いているので放置した。
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