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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

勇者召喚 ~俺だけ森からスタート~

作者: 黒色の猫

 目が覚めると、そこは、何もない空間だった。

 辺りを見渡すと、俺の他に3人の男女が体を起こしていた。


「どこだ、ここは!!」「おい、誰かいないのか!!」「!?」


 あれは確か、生徒会長たちだったはず。


 すると、どこから音がしだした。


 ヒューーーーーーン


 上か? 上を見上げると、何が落ちてきた。

 それは、音もなく、俺たちの目の前に着地する。


「女神降臨!!」


 そう言い、空から降ってきた自称女神は、独特なポーズをとっていた。何だが、後ろからズキューーーーーンとか聞こえてきそうなポーズだ。


「はい、拍手!!」


「「「「?」」」」


 聞こえていないと思ったのか、自称女神は、催促してくる。


「拍手!!」


 俺たちは、苦笑いを浮かべながら拍手する。

 それに満足したのか、少しして、


「どうもどうも、ありがとう。もういいよ君たち。」


 ホッと息をしながら、拍手をやめる。

 すると、俺の横にいた生徒会長?が自称女神に話しかける。


「すみません、ここは、何処なのでしょうか?」


「お、良く聞いてくれたよ少年。ここは、分かりやすく言えば、世界と世界の狭間。君たちは、今から、別の世界に召喚されようとしているのさ。」


「別の世界に、召喚ですか?」


「そう、君たちの世界の書物的に言えば、剣と魔法があるファンタジーの世界。そこに、君たちは、勇者召喚という形で別の世界に呼ばれたって訳よワトソン君。」


「あ、俺はワトソンじゃなくて、あかば…」


Shut up (シャラップ)そんな事は知ってるよ君ぃ~。冗談が通じないねぇ。それで、話は変わるけど、数百年前まで、何度も勇者召喚をしていた関係で、世界のバランスが、崩れかけたの。だから、勇者召喚は封印していたはずなのに、なぜか、また勇者召喚されちゃたのよ。されちゃったことに関して、私でも干渉は出来ないの。だから、別の世界に行く君たちに、私の加護を与えておこうと思ってね。これでも、女神だからね。向こうの世界では、役に立つ筈だよ。」


 胸を張り、女神の部分だけ声をあげ強調している。


「おっと、そろそろ時間だね。それじゃあ諸君、死なないように、頑張ってくれたまえ。」


 女神様がそう言うと、俺たちの体が徐々に光の粒となり消えていった。


「行ったようだね。あれ? そういえば、勇者召喚は上限3名だったような気が… 色々イレギュラーが起こってるみたいね。面倒だけど、少し調べますか。」


 その声を残し、女神も消えていった。


 ◇



「ん、ここは?」


 辺りを見渡すが、俺以外誰もいないようだ。周りは、すべて木ばかり。つもり、ここは、森か?


「あれ? 確か、勇者召喚のはずじゃあ…」


 そう思い、辺りを見渡すも、やはり、先程のメンバーは、誰もいない。

 何となく、上を見上げると、空から紙が降ってきた。

 その紙を、掴むと、何か書かれていた。



 これを読んでる不幸な君へ


 元気かい?それとも、もう死んでるかい? って、死んでたらこれを読めないので、たぶん生きているでしょう。

 君は何かの手違いで、勇者召喚に巻き込まれて、こちらにやって来たようだ。まぁ、なんと言うか、ごめ~んね☆

 その代わりと言っては何だけど、鑑定とアイテムボックススキルと私の加護を最大にしているから、それで、許してね☆

 あ、それと、自身のステータスは、「ステータスオープン。」と唱えると見えるようになるよyou。

 それから、さずけたアイテムボックスの中に、3日分の食料と武器入れてるので活用してくれYOU。

 それじゃあ、頑張ってくれたまえ。


  超絶プリティーな女神より



 俺は、なにも言わず、手紙を握りつぶしていた。

 深呼吸を繰り返し、少しして、落ち着く。もう一度、手紙をよく見ると、まだ続きがあった。


 追伸

 この手紙読み終わったら、自動で燃えちゃいます♥️


 俺は慌てて手を離すと、宣言通り、手紙に火がつき、地面に落ちるまえに燃え尽きた。

 再度、深呼吸を繰り返し、落ち着きを取り戻す。

 女神に言われた通り、ステータスの確認をしてみる。


「ステータスオープン。」


 名前:御剣 蒼馬(みつるぎ そうま)

 種族:人間 年齢:17 性別:男

 ジョブ:???

 LV:1

 HP:150 MP:50

 攻撃力:50 防御力:40

 敏捷:20 体力:50 知力:80

 魔功:25 魔防:25

 魔力:30 運 :15


 スキル

 鑑定EX アイテムボックスEX


 ユニークスキル

 ゼロ


 称号:巻き込まれし者 女神の加護(極大)


 そっと、ステータス画面を閉じる。

 あれぇ? 女神様がくれたスキル以外で一つしかスキルなくないか? しかも、ジョブ:???ってなんだよ。無職か無職なのか?

 少しして、再度ステータス画面を開き、詳細を確認する。


 ジョブ:??? ・・・ 特殊ジョブ。ユニークスキル:ゼロを会得する。


 鑑定EX ・・・ 鑑定の上位スキル。全ての事柄を見ることが出来る。


 アイテムボックスEX ・・・ アイテムボックスの上位スキル。内容量無制限。時間停止。生物不可。


 ゼロ ・・・ ありとあらゆるものを、0に出来る。自身、相手にも使用可能。


 巻き込まれし者 ・・・ 異世界召喚に巻き込まれた者へと与えられる称号。


 女神の加護(極大) ・・・ 最大の女神の加護。言語理解(全)、ステータス上昇率極大Up、経験値取得値極大Up、状態異常無効、HP・MP回復速度超upなど様々な効果ある。


 ステータス画面を閉じ。空に向かって、サムズアップをする。

 するとなぜか、女神様がサムズアップを返してくれたような幻覚がチラッと見えた。

 反省しているのかは、別にして、誠意は一応感じられたので、もしまた会ったら、拳骨1発で許してやろう。

 アイテムボックスから武器を取り出してみる。たぶん、西洋剣と言うやつだと思う。それを軽く降ってみた後に、ユニークスキル:ゼロの使い方について、考えながら、辺りを散策する。



 ◇



 気がつくと、私たちは、大勢の人に囲われていた。

 素早く、周りを確認すると、生徒会長の赤羽あかばねくんとかがみくんの姿は確認できた。

 あれ、蒼馬そうまくんは、どこ? 念入りに辺りを見るが蒼馬くんは、どこにもいない。私は、寂寥感せきりょうかんを感じながらも、蒼馬くんの情報がないか周りの声に耳を傾ける。


「おお、無事に成功しました王よ。」

「良くやってくれた。」

「勇者とは、どれ程強いのだろうか?」


 どれもこれも、蒼馬くんのその字もない。本当にどこにいったの蒼馬くん…

 少し涙がこぼれる。私の涙に気づいたのか、赤刎君が近寄ってきた。


「大丈夫かい凛くん? 安心してくれたまえ。俺がそばにいて、君を守ろう。」


「ありがとう、赤刎くん。」


 一応、お礼は言っておく。だけど、別に貴方にそばにいて貰いたい訳ではない。

 そんな事をしていると、


「よくぞ、来てくれた勇者たちよ。」


 一番着飾っている男の人が、私たちに、話しかけてくる。

 だけど、椅子から立とうともしないので、印象は悪い。


「我は、この国、エンペラドールの王、フーリッシュ・エンペラドールだ。改めて、君たち勇者を歓迎しよう。」


 この国の王と言うことは、私たちを召喚したのは、この人のせいね。そのせいで、今現在、蒼馬くんとはぐれてしまったのかと思うと怒りすら覚えてくる。


「ありがとうございます。私は赤刎と言います。それで、俺たちは、何のために、呼ばれたのでしょうか?」


 なぜか、勝手に赤刎くんは、話を進め出す。


「ドム、勇者たちに詳しい話を。」


「はっ!! 私はこの国の宰相をしております、ドムと申します。あなた方、勇者様たちには、この国、エンペラドールの為に、その力をお貸しして、頂きたいのです。」


「俺たちの力ですか?」


「はい、そうです。」


「そうですか、わかりました。微力ながら力をお貸ししましょう。」


 え? 何で赤刎君が、勝手に、決めてるの?


「お、赤刎が、やるんなら、俺も力を貸すぜ。」


 はぁ~、だから何で勝手に決めるのかな?


「他に、質問はありますか?」


 私は、すかさず聞いてみる。


「一つ宜しいでしょうか?」


「はい、何でしょう?」


「召喚されたのは、私たちだけでしょうか?」


「? はい。今ここにいらっしゃる勇者様たちだけですが、それがどうかしましたか?」


「いえ、ただ確認しただけです。」


 私は軽い絶望感にあった。ここには、蒼馬くんはいないようだ。

 でも、あの時、あの場所に居たって事は、蒼馬くんもきっとこの世界に来ているはず。頭をフル回転させ、今後の計画を練る。とりあえず、この国を完全に信用できないが、今はこの国にとどまり、情報を集めるしかないわよね。そう思い、ドムさんの言葉に耳を傾ける。


「他に質問はないですね。では、まずは、自身の能力を知って頂きたいので、ステータスオープンと唱えてください。」


 言われた通り、直ぐ実行する男2人。


「「ステータスオープン。」」


 はぁ、赤刎くんと鏡くんは、少しは疑うと言うことを知らないのかしら。でも、特に問題はなさそうなので、私も2人に続いて、唱える。


「ステータスオープン。」


 名前:赤刎 勇治(あかばね ゆうじ)

 種族:人間 年齢:17 性別:男

 ジョブ:勇者

 LV:1

 HP:300 MP:200

 攻撃力:80 防御力:70

 敏捷:40 体力:100 知力:30

 魔功:40 魔防:40

 魔力:100 運 :10


 スキル

 剣術 身体強化 剛力 光魔法 魔法耐性 言語理解


 ユニークスキル

 限界突破

 光剣召喚エクスカリバー


 称号:勇者 女神の加護(小)


 名前:鏡 京介(かがみ きょうすけ)

 種族:人間 年齢:17 性別:男

 ジョブ:上級拳闘士

 LV:1

 HP:320 MP:80

 攻撃力:75 防御力:80

 敏捷:35 体力:100 知力:20

 魔功:80 魔防:90

 魔力:30 運 :10


 スキル

 体術 重拳 爆拳 豪腕 身体強化 言語理解


 称号:勇者 女神の加護(小)


 名前:落合 凛(おちあい りん)

 種族:人間 年齢:17 性別:女

 ジョブ:聖女

 LV:1

 HP:150 MP:350

 攻撃力:20 防御力:30

 敏捷:30 体力:80 知力:50

 魔功:45 魔防:45

 魔力:250 運 :50


 スキル

 杖術 回復魔法 神聖魔法 結界魔法 言語理解


 ユニークスキル

 蘇生レザレクション


 称号:勇者 女神の加護(大)


 ステータスを確認した私たちに、ドムさんが職業やスキルなどを聞いて回っている。

 赤刎くんと鏡くんは、どうやら、疑うと言うことを知らないようだ。馬鹿正直に、答えているみたい。

 私にも、聞いてきたので、ユニークスキル以外答えておく。


「「「「「「「お~~~~!!」」」」」」」


「3人とも、初期ステータスが高いみたいですね、王よ。」


「うむ。勇者たちには、今後、ここにいる、ストムとティペッシュの2人に訓練し、その後は、ダンジョンに挑んでLvをあげてもらう。」


「私が、エンペラドール騎士団団長のストムだ。」


「私が、エンペラドール魔法師団魔法師長のティペッシュです。」


 どうやら、この2人から指導を受けるみたい。


「それじゃあ、訓練は明日からだ。今日は、ゆっくりと休んでくれたまえ。ドム、後は任せた。」


 そう言い、国王は、早々に立ち去っていった。


「では、勇者様がた、こちらになります。」


 ドムさんに、促され、私たちは、城の部屋に案内される。

 待っててね、蒼馬くん。必ず見つけ出すからね。私は、そう決意する。



 ◇



 ユニークスキル:ゼロの使い方は思い付いたが、本当に使えるか不安だ。まぁ、やってみれば分かるか。

 立ち止まり、早速試してみる。


「まずは、付与エンチェント:物理ダメージ無効ゼロ。」


 発動した感じはあるが、特に変わった様子はない。

 ガサガサっと近くの繁みから、何かが出てくる。


「!?」


 そいつは、4mはある巨体に、鬼のような顔。手には、2mもある棍棒。まさか、オーガってやつか?

 すぐ、鑑定EXで鑑定してみる。


 名前:ー

 種族:エンペラーオーガ 年齢:ー 性別:♂

 LV:180

 HP:1800 MP:300

 攻撃力:450 防御力:380

 敏捷:270 体力:1000 知力:40

 魔功:350 魔防:350

 魔力:150 運 :10


 スキル

 豪腕 剛力 怪力 腕力強化 皮膚硬化


 ユニークスキル

 帝王鬼の一撃


「Lv180!?」


 異世界初の敵にしては、Lv高くないか。


「ウガァァァ。」


 エンペラーオーガは、持っていた棍棒を振り下ろしてきた。

 咄嗟の攻撃だったので、躱すのが、少し遅れた。


 ドカッーーーーーーーーーン


 何とか、躱せたが、棍棒が地面に叩きつけられ、その風圧で俺は、ふき飛ばされる。


 ドンッ


 木に背中を強打する。だけど、

 あれ?痛くない。すぐに起きあがり、敵がいるのも忘れ、体を確認する。服は汚れているが、特にケガがあるようには、みえない。どうやらゼロは、ちゃんと効いているようだ。

 武器を構え、エンペラーオーガと対峙する。


「ウガァーーーーー」


 エンペラーオーガが吠えると筋肉がさらに盛り上がり、少し湯気がたっている。スキルを発動したのか、再度吠えながら、俺に一足で近づき、先程よりも、早いスピードで棍棒を横降りで降ってくる。


 バコーン


 今度は、躱せずに、直にぶち当たり、吹き飛ばされる。

 バキッバキッバキッ

 何本もの木をへし折りながら、数mも吹き飛んだ。

 よっこらしょ。何事もなかったように、俺は起き上がる。


「直接くらってみたけど、やっぱりダメージはないな。ダメージはないけど、衝撃のせいで吹き飛んでしまうな。相手の攻撃力の方が高いからか?」


 そう考え、次の段階に移るため、エンペラーオーガの方へ歩いていく。


「ウガァ!!」


 どうやら、さっきのが渾身の一撃だったのか、俺が戻ってきたことに対し、驚いている。スキルが切れたのか、筋肉もどうやら、しぼんでいる。


「次は、こっちから、行くぞ。付与エンチェント:攻撃力(ゼロ)。」


「ウガァ?」


 俺は歩いて近づく。


「ウガァァァァァ!!」


 エンペラーオーガは、俺めがけて、棍棒を振り下ろしてくる。

 俺は、片腕をあげ、それを受け止める。


「ウガァ!!」


 動揺した隙に、がら空きの胴体に攻撃をしかけるが、


 ガキンッ


 剣が弾かれる。


「硬っ!!」


 すかさず、次の付与エンチェントをかける。


「それじゃあ、付与エンチェント:防御力(ゼロ)。」


「ウガァ!!」


 再び、棍棒を振り降ろしてくる。それを剣で弾くと、棍棒はエンペラーオーガの手から抜けて飛んでいく。すぐ、剣を戻し、体勢の崩れたエンペラーオーガの心臓めがけて、刺突を繰り出す。今度は、弾かれることなく、すんなりと剣がめり込んだ。


「ウガァ!!」


 エンペラーオーガは、腕を振り上げ、何度も何度も、俺を殴り付けてくるが、痛くも痒くもない。

 俺は、めり込んだ剣を、回転させ、止めを刺す。


「グアァァァァ…」


 次第に声がやみ、エンペラーオーガの瞳から光が消え、そのまま倒れる。


「ふぅー、何とか勝ったな。」


 すると、突然、力がみなぎってきた。

 Lvでも上がったんだろうか。俺は、早速確認してみる。


「ステータスオープン。」


 名前:御剣 蒼馬(みつるぎ そうま)

 種族:人間 年齢:17 性別:男

 ジョブ:???

 LV:160

 HP:1750 MP:1650

 攻撃力:1650 防御力:1640

 敏捷:1620 体力:1650 知力:150

 魔功:825 魔防:825

 魔力:880 運 :100


 スキル

 鑑定EX アイテムボックスEX


 ユニークスキル

 ゼロ


 称号:巻き込まれし者 女神の加護(極大)


 称号のおかげもあるのか、一気に、Lvが上がっていた。

 だけど、この世界の平均の強さが分からないため、今度からもモンスターは積極的に、倒していこうと思う。

 ステータス画面を閉じ、アイテムボックスEXを発動する。エンペラーオーガの真下に黒いもやが出現し、飲み込んでいく。

 ん、どうやら頭のなかで、アイテムボックスの中身のリストを確認することが、出来るみたいだ。しっかりと、リストのなかに、エンペラーオーガがあるのを確認して、俺は、森を出るため、再び森の中を探索する。

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