中学生は下ネタが大好きだ
タイムスリップに成功した晋太郎。久しぶりに見る中学の景色は想像していたよりエネルギーに溢れていた。
目を覚ますとベッドの位置が変わっていた。日付を確認しようとスマホを探すが、充電されていたのはタブレット端末だった。
2017年、6月30日。やはり戻っている。近くに学ランが脱ぎ捨ててあるから、タイムスリップは成功したらしい。
「おはよう」
晋太郎はリビングにいた母親に恐る恐る声をかけた。
「え? お、おはよう」
様子がおかしい。まさか、と思い洗面所へ行ったが、ニキビが少なく、つるりとした肌を持つ少年が写るだけだった。
「なに?」
母親がやけにこちらを気にするので晋太郎はたまらず聞いた。
「何って晋はいつも私を無視するでしょう?」
「あっ、もう、やめた」
反抗期をすっかり忘れていた。母親の慌てぶりから察するに、晋太郎の母への当たりは相当なものだったと思われる。といっても自分自身なのだが。
「やめたって何? 早く行きなさい」
「う、うん」
まだ6時45分だ。いつもならまだ寝ている。しかし、目に入ったバスケットシューズを見て、朝練に行かなければならないことを初めて認識する。
1年ぶりに見た校門は、中に入るのを遠慮してしまうくらいよそよそしい。
「しん、たろー」
「修一!!」
久しぶりー、と晋太郎は一段テンションを上げる。
「おはよー。てか何で久しぶりなの?」
確かに昨日は部活休みだったけどさ、と言いながら修一の足は体育館に向かっている。
「え? そんなことよりさ、今日のメニュー何?」
「メニューってお前、朝練はスリーとミドルだけだろ。寝ぼけてんのか? さては昨日一日中シコってたな?」
修一が股間を触ろうとしてきたので、「きもいよ!」とケツを叩いてやった。
体育館ではチームのみんながバッシュの紐を結んでいた。
「みんなー、晋太郎一日中シコってたらしいぞ」
修一が下ネタを言っただけで、その場がドカンと受けた。中学生は下ネタが大好きだ。
「そうそう、気づいたら朝でさ」とノッてみたら、みんながポカンとしていた。
晋太郎は、謎の間を嫌うように体育館へ出る。ボールを持ち、シュートを打ってみると、リングにかすりもしなかった。どうやら筋力は随分と足りないらしい。
まだ眠っている体を無理やり動かし、時間がすぎるのを待った。
ようやく1時間目を知らせるチャイムが鳴ったとき、晋太郎は机に突っ伏した。
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