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事務的な作業

「おい! 修一!」


粉々になったガラスの破片が辺りに散らかっている。修一の頭から赤黒い血が止まらない。


「速く! 先生!」


ふらりと入ってきた赤星さんの弟に怒鳴りつける。


「修一! しゅういち! しゅーういーち!!」


まるで神様が生命のスイッチを切ってしまったように修一は動かない。


「てめぇがこのまま死んだら最高だな。何度も何度もやり直して悪さをしてたやつが、最期には事故で死ぬなんてな!」


事故? 確か、


「工藤、何があった?」


学年主任がガラスを踏まないようにゆっくりと近寄ってくる。大人が来て急に体から力が抜ける。


「救急車、速く、呼んだ?」


担任が小さな声でそう言った。高いヒールは体育館に似合わない。


「上の、ライトが、上の、その、落ちてきて。あたって。そんで、赤星に、頼みました」


 1分、1秒、と時間が経つごとにさっきの映像が脳内で蘇ってくる。人が崩れる瞬間が何度も何度も再生される。忘れようとすればするほど鮮明になっていく。


 やってきた救急隊員は、思ったよりも冷静で、いかにも事務的に作業をこなしていった。修一を拾い上げている、というのが適切だったと思う。


 学校を出ると、日常がなんの変化もなく流れていた。


 今日は、10月30日であっていただろうか。

京セラドームの鉄骨が落ちたことを参考にしました。

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