いつもより浮かれている
【行く! 白崎ちゃんも来ていい?】
やはり流川の画像に設定している赤星さんから返信が来る。
【おけ。春人にも伝えとく】
晋太郎は猫のスタンプを送信した。
いつもより浮かれている2人が、晋太郎と春人に近づいてくる。
「お待たせー」
「じゃあ行こっか」
晋太郎は入念に調べた神社までのルートを丁寧にたどる。春人は、早速赤星さんと楽しそうに話している。
「あとどのくらい?」
思ったより近くにいた白崎さんにドキリとする。
「ご、500メートルくらいかな、あの角曲がったとこ」
「ふーん」
提灯の赤い光が神社を照らしている。カップルばかりに目が行くのはどうしてだろう。
「前さ本屋であったよね」
考えたら何も話せなくなるから、晋太郎は深く考えずにそう言った。
「会った会った! 工藤くん私のこと無視するから。ムカついて声かけたんだ」
普段は絶対しないんだけどね、と言いながら、白崎さんの目は屋台に向く。
「ムカついてたの? あのとき? 結構傷ついたわー」
「ごめんごめん」
笑いながら謝る白崎さんは、学校にいるときよりのびのびしている。
「あ! じゃがバターだ。 ゆい、あったよ!」
なになに?、と赤星さんを誘い、白崎さんは屋台に並ぶ。
花火まであと30分程度だろうか。3日かけて作り上げた作戦を頭の中で何度も繰り返す。
「緊張してきた」
引きつった顔の春人が、晋太郎にしか聞こえないような小さい声で話しかけてくる。
「やばい、俺うんち漏れそう」
「トイレ行っとけよ! てか、速くない?って言われちゃうかもしれないけど、次二人になったとき、はぐれようか」
「え、速くない?」
「スラムダンクの話で結構盛り上がってさ、さっき射的でグッズあったからそれ取ってこようって決めちゃったんだよね」
「まじかよ」
春人のコミュニケーション能力はこの数時間で随分上がったらしい。
「赤星さん戻ってきたら俺行くから。頑張ろうな、お互い」
「うん」
花火を見るベストポジションを求めて、男たちが女をリードしている。あの階段辺りが良いだろうか。バッ、バッ、バッ、と心臓が今までにない動きをしている。




