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おおよそありきたりなことのくせに
「一生懸命な人を笑って、さも自分は達観したかのように振る舞うなんてやめなよ。どうせ考えてることは彼女ほしい、とか、モテたい、とかおおよそありきたりなことのくせにさ」
「うるせぇな。彼女もいないくせに」
「こ、これから作るんだよ」
「わかったよ。行けばいいんだろ?」
ありがてぇ、と晋太郎はカイジのモノマネをしながら春人にすり寄る。
「でもさぁ、俺は晋太郎がてっきり赤星さんを好きなのかと思ってたよ。なんで白崎なわけ?」
「白崎さんと一回だけ話したことあるんだよ。本屋で。俺、気づいてたんだけど無視しようとして、そしたら向こうが話しかけてきてくれてさ」
ロマンチックだこと、と春人がバカにしてくる。
「本、好きなんだね。って言った顔が可愛くって」
「はい、これ録画してたから。バスケ部のグループに流しまーす」
「お前絶対やめろよ! もし流したら、彩花先生で抜いてることバラすからな」
「それだけはホント勘弁して。俺生きていけなくなる」
「言わないよ。だからそれ消せよ」
へーい、と春人が動画を削除する。
晋太郎は【今度のお祭り一緒に行かない?】と赤星さんに送信した。




