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安全なところから水をかけるなんて

 誘うのを修一ではなく、春人にしたらどうなる? 自分が白崎さんと行動したらどうなる?


 晋太郎は夏祭りの歴史を改変することを決意した。


【今度部活休みの日、お祭り行こうよ】


春人にラインを入れる。


【俺ら二人で? 女の子が来るっていう天変地異が起きない限り嫌だ】


春人の返しは、他の同級生と違って少しひねりがあるから面白い。


【その天変地異は俺が起こすからさ〜】


【はいはい、嘘も大概にしようね】


どうやら春人は信じていないらしい。晋太郎は、春人を説得するためプレゼン作りに励む。


【今度の試合の帰りマック行こう。そこで俺の作戦を発表してやるから楽しみに待っとけ】


 OK、という明らかに面倒臭そうなスタンプの返信に春人のやる気のなさを感じる。



「だから、そこで春人から赤星さんに迫ればいいの!」


無理、マジ無理、と春人は晋太郎の提案を拒絶する。試合のあとに食べるポテトは、いつもより塩味が濃い気がして、あっという間に2箱を平らげられてしまう。


「わかった。じゃあ、俺が白崎さんに告る。そしたらお前もな」


人生で数回しか使ったことのない「告る」という単語が気恥ずかしい。


「告るって、お前この前からなんか変だよ。あれだろ、先週やってた『耳をすませば』に影響されたんだろ?」


お前ジブリ大好きだもんな、と春人は晋太郎のラインをくまなく観察する。


「正直言うと、お前の言うとおりだよ。アニメに影響されてますよ!」


「やっぱり? ダセェからやめとけ」


「そんなこと言ってたら一生彼女できないよ」


安全なところから冷水を掛けるなんてずるいよ、と晋太郎は真剣なトーンで話すよう務める。


 

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