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心臓で作られた血が顔に集まる
「困るよ。そんなこと。だって赤星さんは」
心臓で作られた血が、全て顔に集まっている気がする。晋太郎の顔はみるみる赤くなる。
「赤星さんは?」
「あ、俺なんかよりもっといい人が」
「…たしとは……付き合えない?」
赤星さんは今にも泣きそうだ。
「うん。ごめん」
「そっか。あたし、顔洗ってくるね」
ここで待ってるから、と晋太郎は近くのベンチに腰を掛けた。まだ心臓がバクバクしている。
戻ってきた赤星さんは、さっきのやり取りが嘘のように明るくなっていて、地元の駅で別れるときは、誰より名残惜しそうに去っていった。
少しずつですが、読んでくれている人が増えてきています。この先にハリウッド映画をも凌ぐ展開が待っているので、引き続き読んでくださいね。